管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)のソフトをサクサク動かすために必要なグラフィックボードの大手ベンダーである日本AMDさんから、「7月24日の午後、BIMのプライベートセミナーをやるので参加しませんか」というお誘いを受けました。
面白そうなので取材を兼ねて指定された時間に行ってみると、
ナ、ナ、ナ、ナント、
受講者は2人だけ
だったのです。もう一人の受講者は、知り合いの某建設専門紙の記者さんでした。
つまり、プライベートセミナーとは、社内で行うセミナーという意味ではなく、プライベートな受講者のために行う、超VIPでゼイタクなセミナーという意味だったのです。
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プライベートセミナーの会場。2人の受講者のためだけに、デモを交えた1時間のセミナーを開いてくれた。この写真では講師の方に受講者の役をしてもらいましたので、写っている人はすべて講師です(写真:家入龍太。以下同じ) |
講師陣は日本AMDのほか、BIMソフト「Revit Architecture」などのオートデスク、BIM用ワークステーションや大判プリンターなどを展開する日本ヒューレット・パッカード、3Dレーザースキャナーのベンダーであるファロージャパンと、名だたるBIM関連のハード、ソフトベンダーの皆さんでした。
そして講師の皆さんはたった2人のわれわれ受講者のために、約1時間にわたって3Dレーザースキャナーで計測した点群データをRevit ArchitectureやNavisworksに読み込んでBIMモデル化して活用するまでのプロセスを、実演を交えながら分かりやすく説明してくれたのです。
では、どんなセミナーだったのかをご紹介しましょう。
まずは3Dレーザースキャナーでの計測からです。ファロージャパンの工藤信男さんが同社の3Dレーザースキャナー「FARO Focus3D」を実際に動かしながら、点群データの計測精度や計測時間などについて説明しました。
その間には実際のセミナー会場内をぐるりと360度、レーザースキャナーで計測するデモも行いました。計測した点群データはBIMソフトに読み込んでデータ処理を行うため、オートデスクさんに渡します。
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ファロージャパンの工藤信男さんによる「FARO Fosus3D」の解説(左)。実際に室内をレーザースキャンしてみせた(右) |
その間、日本ヒューレット・パッカードの小泉薫さんが、「なぜ建築業界でワークステーションが採用されるのか」「なぜ、HPがNo.1なのか」「2012年の新製品」といった話題を、われわれ2人にビューティーな視線を投げかけながら熱く語ってくれました。もう、目をそらしたり、居眠りしたりなんてことは、とんでもありません。
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日本ヒューレット・パッカードの小泉薫さんによるBIMとワークステーションの解説(左)。新型機ほど処理速度が速くなっているが分かる(右) |
そうしているうちに、BIMソフトへの点群データの読み込みと処理が終わったようです。今度はオートデスクの大浦誠さんが点群データをどのようにBIMモデル化していくのかを実演してくれました。Revitに読み込んだ点群データには、カーソルが「スナップ」するので、正確にトレースしていくことができます。
最近は点群データからパイプの管径を自動認識してモデル化したり、1フロア分の点群データから自動的に壁モデルを作成したりするソフトも、オートデスクやパートナー企業で開発中とのことです。
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オートデスクの大浦誠さんによる解説(左)。点群データをその場で3Dトレースし、BIMモデルに変換するデモも行った(右) |
最後に日本AMDの濱地和雄さんがBIM用としてコストパフォーマンスが高いと好評な「AMD FireProV4900」型グラフィックボードや、マルチディスプレーの切り替え機能などを紹介しました。
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日本AMDの濱地和雄さんによるグラフィックボードの解説(左)。マルチディスプレーの切り替え機能(右) |
このプライベートセミナーで、気になったのは冒頭の3Dレーザースキャナーから見て、室内がどのように点群データとして記録されているかでした。
そこで、レーザースキャナー側から見た点群データを見せてもらったところ、
ナ、ナ、ナ、ナント、カメラを構えている
私自身が点群データ化
されていたではありませんか。
これまで何度も3Dレーザースキャナーの取材は行ってきましたが、点群にされたのは初めての経験で思い出に残りました。
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点群データ化された私とセミナー会場内の風景。点群なので任意の点間の距離もすぐ分かる(資料:ファロージャパン) |
この日、プライベートセミナーを受講したのは、われわれ以外に建築設計事務所と建設会社の2組があったそうです。他社の人がおらず、社内の人だけで受講する形になるため、リラックスできて、質問も活発になるとか。時には社内会議のようになってしまうこともあるそうです。
その分、講師の皆さんは同じ話を何回もすることになりますが、受講者とダイレクトにコミュニケーションしながらセミナーが進むため、非常に分かりやすく、充実した時間を過ごせます。
日本AMDではこのようなプライベートセミナーを3カ月に1回程度、開催しているそうです。興味のある方は、同社に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
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最新型ワークステーションなどの展示コーナーも |