管理人のイエイリです。
地震時に建物がどのように振動するのかをシミュレーションする上で、時刻歴応答解析は欠かせません。
ただ、問題になるのはどこまでモデル化するかです。一般的にはしっかりした基礎があるという前提で基礎から伝わる地震動の加速度波形をモデルに入力して計算することが多いのではないでしょうか。しかし、実際には基礎杭も地震時に曲がったり動いたりしています。
そこで構造計画研究所は、建築構造計算プログラム「RESP-D」の最新バージョン「RESP-D Ver.2.0」に新機能を追加しました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
杭と地盤、上部構造を一体化
して時刻歴応答計算ができるようになったのです。
この機能追加により、杭と地盤バネをモデル化した「杭単独モデル」と、上部構造と杭と地盤バネをモデル化した「一体モデル」による解析が可能になりました。
水平地盤バネ値は「建築基礎構造設計指針」に準拠し、杭頭の塑性化にも対応しています。出力は、杭と基礎梁の構造計算書(杭伏図、杭断面リスト、モーメント図、検定値図、検定表)に対応しています。
杭単独モデルと一体モデル(資料:構造計画研究所。以下同じ) |
「RESP-D」とは、超高層建物や制振・免震構造の設計・解析プログラム「RESPシリーズ」のうち、業務の効率化を図り、設計者が抱える課題を解決するプログラムです。
このほか、既製杭についても順次対応していく予定とのことです。
共通の建物モデルを使用して許容応力度設計から、質点系や立体振動解析までを行うため、データの一元管理ができます。
また、モデル化する際のエラーは逐次表示されるため、ミスを早期発見できます。一通りの検討にかかる時間を短縮できるため、対応案件数が増やせるというメリットがあります。
「RESP-D」の画面とユーザーインターフェースの特徴 |
基礎と建物を一体化して地震力に対応できる構造を採用すると、設計はより合理的になりそうですね。
ただ、構造によっては入力が複雑になりすぎる場合もあるでしょう。そんなときは、自社工法用などに
各社向けカスタマイズ
も行っているそうです。
解析技術の高度化で、免震・制震工法もさらに進化しそうですね。