令和4年度インフラDX大賞、国交大臣賞は金杉建設、埼玉県らに! 配筋自動化のArentは東証に上場へ
2023年3月1日

管理人のイエイリです。

毎年、建設IT界の熱い注目を集めている、国土交通省の令和4年度 「インフラDX大賞」(旧・i-Construction大賞)の受賞者が昨日(2023年2月28日)に発表されました。

今回の審査・表彰の対象は、令和3年度(2021年度)に完了した、国や地方公共団体などの発注工事・業務や、地方公共団体、そしてi-Construction推進コンソーシアム会員の取り組みです。

インフラDX大賞選考委員会での審査の結果、今回は国土交通大臣賞4団体、優秀賞19団体、スタートアップ奨励賞2団体の計25団体が受賞者として決定しました。(詳細は記事末尾の「令和4年度インフラDX大賞受賞者一覧」を参照

その結果、最も注目を集める「工事・業務部門」の国土交通大臣賞には、

ナ、ナ、ナ、ナント、

埼玉県の金杉建設

が決定しました。(国土交通省のプレスリリースはこちら

対象となった工事は埼玉県八潮市内で行われた、柳之宮橋架け替え工事などに備えた迂回(うかい)路の整備工事です。

300m3という小規模土工で、バケット容量0.25m3のバックホーにICT施工システムを後付けして施工し、排水構造物の据え付けには自動追尾型測量機器を活用して丁張レス施工を行うなど、ICT施工の“ダウンサイジング”を行ったことなどが評価されました。(「工事・業務部門」を受賞した各団体の取り組み内容はこちらを参照

工事・業務部門で国土交通大臣賞を受賞した金杉建設の取り組み。小型バックホーにICT施工システムを後付け(左)して施工し、施工用の3Dデータ(右)作成も100%内製化した(特記以外の資料:国土交通省のプレスリリースより)

工事・業務部門で国土交通大臣賞を受賞した金杉建設の取り組み。小型バックホーにICT施工システムを後付け(左)して施工し、施工用の3Dデータ(右)作成も100%内製化した(特記以外の資料:国土交通省のプレスリリースより)

地方自治体部門の国交大臣賞は、埼玉県が受賞しました。

同県の県土整備事務所には、土砂災害警戒区域に対する問い合わせが年間約160件も来ていますが、以前は確認対象地の特定には住宅地図や公図を使い、区域指定総括図と照合する「紙ベース」だったため、多大な時間と人的リソースが必要でした。

それをGIS(地理情報システム)化したことで、確認作業が瞬時に行われるようになったことが評価されました。工事・業務部門、地方公共団体部門は、埼玉県勢が独占したことで、埼玉のDX力を感じさせられました。

このほか優秀賞には大阪府熊本県が選ばれました。(「地方公共団体部門」を受賞した各団体の取り組み内容はこちらを参照

土砂災害警戒区域の確認を紙ベースからGISに変えてスピードアップを図った埼玉県の取り組み内容

土砂災害警戒区域の確認を紙ベースからGISに変えてスピードアップを図った埼玉県の取り組み内容

そして、i-Construction推進コンソーシアム会員部門の国交大臣賞は、Arent国際航業が受賞しました。

国際航業はダム堤体や貯水池の地すべりなど、広範囲にわたる地表面の挙動を、GNSS(全球測位衛星システム)や衛星SAR(合成開口レーダー)、IoTセンサーを統合して、時空間的に連続した変位計測を可能にしたことが評価されました。

国際航業の取り組み。地すべりなどをGNSS、衛星SAR、IoTセンサーを統合し、時空間的に連続したモニタリングを可能にした

国際航業の取り組み。地すべりなどをGNSS、衛星SAR、IoTセンサーを統合し、時空間的に連続したモニタリングを可能にした

一方、Arentは配筋BIMモデルの作成を大幅に自動化するソフト、「Lightning BIM」の開発が評価されました。(Lightning BIMのサクセスストーリー記事はこちら

BIM/CIMソフト「Revit」のアドインとして動作し、鉄筋1400本のモデリングをわずか10秒で行えるスピードや、納まりの検討工数を90%削減するという画期的なものです。(「i-Construction推進コンソーシアム会員部門」を受賞した各団体の取り組み内容はこちらを参照

配筋BIMモデルの作成を大幅に自動化した「Lightning BIM」

配筋BIMモデルの作成を大幅に自動化した「Lightning BIM」

そして、Arentについてはビッグニュースが飛び込んできました。2023年3月28日にナント、

東京証券取引所に上場

することが決まったのです。(日本取引所グループの新規上場会社情報はこちら

上場するのは比較的、規模が小さいベンチャー企業などが集まる「グロース」市場で、企業コードは「5254」です。

新たな“建設DX銘柄”として、投資家からも注目を集めそうですね。


令和4年度インフラDX大賞受賞者一覧

●工事・業務部門

N0 表彰の種類 業者名 工事/業務名 発注地整等
1 国土交通大臣賞 金杉建設株式会社 総A除)5021社資交付金(街路)整備工事(柳之宮橋迂回路整備工事その1) 埼玉県
2 優秀賞 株式会社堀口組 一般国道2 3 2号 苫前町 力昼防災工事 北海道開発局
3 優秀賞 宮坂建設工業株式会社 天塩川改修工事の内 美深パンケ樋管改築外工事 北海道開発局
4 優秀賞 前田道路株式会社東北支店 河辺地区道路改良舗装工事 東北
5 優秀賞 株式会社水清建設 一級河川松川筋川崎地区河川改修その3工事 岩手県
6 優秀賞 株式会社オリエンタルコンサルタンツ関東支社 R 3東京国道管内交通事故対策検討業務 関東
7 優秀賞 株式会社パスコ東京支店 R2・R 3荒川下流管内平面図化業務 関東
8 優秀賞 東洋建設株式会社北陸支店 敦賀港(鞠山南地区)岸壁(-14m)築造工事(その3) 北陸
9 優秀賞 株式会社廣瀨 大河津分水路山地部掘削その14工事 北陸
10 優秀賞 みらい建設工業株式会社中部支店 令和3年度名古屋港金城ふ頭岸壁(-12m)裏込工事 中部
11 優秀賞 株式会社荒木組 玉島笠岡道路西大島地区改良工事 中国
12 優秀賞 日産建設株式会社四国支店 高松港朝日地区航路(-12m)浚渫工事 四国
13 優秀賞 株式会社熊野組 令和2年度竜門ダム法面災害復旧工事 九州
14 優秀賞 あおみ建設株式会社九州支店 令和3年度八代港大築島土砂処分場地盤改良工事 九州

●地方公共団体等の取組部門

N0 表彰の種類 取組団体名 取組名 地域
15 国土交通大臣賞 埼玉県 土砂災害警戒区域の照会迅速化 関東
16 優秀賞 大阪府 大阪モノレール延伸事業における関係機関協議の円滑化 近畿
17 優秀賞 熊本県 道路情報収集活用のためのシステム構築 九州

●i-Construction推進コンソーシアム会員の取組部門

N0 表彰の種類 業者名 取組名 本社所在地
18 国土交通大臣賞 株式会社Arent 納まり検討工数を90%削減可能なRevitアドインLightning BIMの開発 東京都
19 国土交通大臣賞 国際航業株式会社 GNSS・IoTセンサ・衛星SARの統合によるインフラ点検の省力化・効率化の取組み 東京都
20 優秀賞 株式会社Polyuse コングリート構造物の施工工事における建設用3 Dプリンタ 東京都
21 優秀賞 極東建設株式会社 水中バックホウのマシンガイダンス適用による作業効率向上 沖縄県
22 優秀賞 宮川興業株式会社 AIによる道路区画線診断技術「ROADVIEWER(ロ ードビューアー)」 広島県
23 優秀賞 株式会社Liberaware、CalTa株式会社 屋内自動巡回ドローンと画像解析技術を活用した施工管理DX 千葉県/東京都
24 スタートアップ 奨励賞 株式会社フォトラクション 建設DXのためのデジタルワークプレイス「Photoruction」クラウドサービスとAl BPOが実現する飛躍的な生産性向上 東京都
25 スタートアップ 奨励賞 シェルフィ?株式会社 安全書類電子化サービスで、建設業全体に「業務時間の削減」と「管理体制の強化」を生み出す 東京都
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