管理人のイエイリです。
ドローン(無人機)と言えば、建設現場の上空から写真を撮ったり、レーザー測量を行ったりと、測量や計測での使用が中心でした。
その一方で、大型化も進み、数十キログラムの荷物を吊り上げて現場に運ぶ巨大ドローンも実用化が進んでいます。
まずは、林業でのドローン物資輸送などに実績のあるロジクトロン(本社:東京都練馬区)は、2023年1月20日に国土交通省 関東地方整備局 荒川下流河川事務所が主催する実証実験で、大型のドローンを使った緊急支援物資の輸送に成功しました。
使用したドローンは縦・横の寸法が3mを超える巨大なもので、ペイロード(最大積載量)は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
国内最大級の55kg
なのです。(ロジクトロンのプレスリリースはこちら)
緊急物資の輸送実験を行ったのは、荒川下流部の人口集中地域です。
この日は荒川下流域の堀切緊急用船着き場~墨田緊急用船着き場の約250mの河道横断コースで、このドローンを9往復させ、合計約230kgの支援物資を55分間で運搬することに成功しました。途中、2回のバッテリー交換を行いました。
両岸に2人のオペレーターを配置して、離着陸や自動フック切り離し機構などによる荷下ろしを担当しました。河道の上は自動航行を行いました。
運んだ荷物は非常食としてカップヌードル40個やリゾット350袋、そして水68Lです。梱包材を含めると総重量は約230kgとなりました。
1回に運んだ最大重量は、50kgの水だったそうです。その際の騒音は、高度15mの機体直下で110デシベル、25mで80デシベルでした。
このほか、大林組は空飛ぶクルマの開発を進めるSkyDrive(本社:愛知県豊田市)と共同で、神奈川県横浜市内の人口集中地域にある橋梁建設現場で、大型ドローンによる資材運搬の試験運用を開始しました。
使用しているドローンは、SkyDriveが開発した自動自律飛行が可能な「SkyLift」です。サイズは長さ2.5m×幅1.9m×高さ1.0mです。
最大ペイロードは30kg(ホイスト使用時は20kg)とされていますが、安全をみた値であり、実際は50kg以上の荷物を運搬できるとのことです。
現場内の広場から離陸し、H型鋼や単管クランプ、ボルトナットなど最大20kgの資材を運び、橋桁上空の高度30mからホイスト機構によって無着陸で荷下ろしを行いました。
この現場で、驚くべきことは、重量物運搬用ドローンとして、
国内初の自動自律飛行
によって資材運搬を行ったことなのです。
両社は2019年から、重量物運搬用ドローンの活用に向けて高速道路現場などで実証実験を繰り返してきました。(2020年2月14日付の当ブログ参照)
今回の試験の目的は、山間部や急傾斜地、狭い現場など、クレーンの設置が困難な現場で、自動自律飛行が可能な重量物ドローンをクレーン代わりに活用する可能性を探ることです。
現在、山間部などの現場に資材を運ぶためには、人が数十キログラムもの荷物を背負って運ぶ「歩荷」という方法が使われていますが、近い将来はドローンが“空飛ぶクレーン”として、その役目を担うことにもなりそうですね。