CIMを先取り!2012年グッドデザイン賞ベスト100に輝いた激特事業
2012年12月27日

管理人のイエイリです。

グッドデザイン賞というと、日用品やクルマ、家電製品などを想像しがちです。しかし、その受賞対象は広く、建物や広場、サービスなど、世の中に存在するあらゆるものと言っても過言ではありません。

11月25日、2012年度のグッドデザイン賞の「グッドデザイン・ベスト100」の受賞作品が発表されました。

その中には、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

景観に配慮した激特事業

 

がランクインしていたのです。

2006年7月に鹿児島県川内川流域で発生した記録的豪雨による洪水被害を受けて行われた河川災害激甚対策特別緊急事業の一環として行われた「曽木の滝分水路」の整備事業が対象となり、国土交通省九州地方整備局川内川河川事務所が受賞しました。

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2012年度グッドデザイン・ベスト100に輝いた曽木の滝分水路(資料:グッドデザイン賞のウェブサイトより)

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分水路の建設地点(以下の資料:日本建設情報総合センター、熊本大学大学院・小林一郎教授)
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曽木の滝(左)と2006年7月に川内川流域で発生した記録的豪雨(右)

分水路が建設された曽木の滝公園地は、奇岩奇石が豊かな自然環境が広がっており、「激特事業に景観を」というキーワードで事業が進められたそうです。

そこで熊本大学大学院自然科学研究科の小林一郎教授が協力し、曽木の滝をバイパスする分水路の景観や設計検討を3次元モデルによって行いました。

施工では、ダイナマイトで岩を発破する必要もありました。その時は発破技師も「美的センス」を発揮して、ダイナマイトをセットする位置などを決めたそうです。

こうして人工的に建設した分水路とは思えないほど、曽木の滝にふさわしい自然にマッチした景観が誕生しました。

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景観検討などに用いた3次元モデル

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3次元モデルによる景観の比較検討
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完成した分水路。岩を発破する際には技師も美的センスを発揮した

この分水路の3次元モデルで検討したのは景観だけではありません。デザインから土工量を算出したり、分水路の線形や横断面、縦断面から水理計算を行い、景観検討にフィードバックしたりしました。このほか、構造計算も行ったそうです。

まさに、国交省が進めつつある「コンストラクション・インフォメーション・モデリング」こと、

 

「CIM」を先取りした事業

 

と言ってもいいでしょう。

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3次元モデルで行った検討には景観のほか土量計算や水理計算、構造計算なども含まれる

産学官にまたがる関係者間の合意形成には「統合型情報運用システム(Kolg」)を使ってネット上で協議を進めながら設計の質を高め、合意形成を早めていったそうです。

こうしたCIMのサクセスストーリーが、今後、いろいろな事業から出てくるのが楽しみですね。

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