管理人のイエイリです。
日本各地では、供用開始から30年を超えた高速道路の床版取り換え工事が行われています。
新設工事と違って取り換え工事が難しいのは、既設橋の形状を把握した上、復元や補強の設計を行い、既設橋に合わせて新しい床版を割り付けていかないといけない点です。また、既存床版の撤去や、施工時の交通制約を考慮するという、新設にはない制約条件もあります。
複雑な工事だけに、これまでは2次元CADオペレーターが割り付け案を複数作成し、設計者がチェックや修正指示を行うといった具合に、多くの時間を要していました。
この作業を効率化しようと、大林組とオフィスケイワン(本社:大阪市西区)は、高速道路リニューアル工事における床版取り替え工事用のBIM/CIMシステム「Qa-Slab」(キュア・スラブ、Quick auto Slab Layout & Shape)を共同開発しました。
床版取り替え工事のノウハウを集約したルールをもとに、床版取り替えのプランを、
ナ、ナ、ナ、ナント、
瞬時に複数作成
できるのです。(オフィスケイワンのプレスリリースはこちら)
ポイントとなるのは、これまで設計者自身の頭のなかにあった新設床版や壁高欄の割り付け、既設床版のカット割りなどをルール化したことです。
例えば、標準版の許容する最大・最小長さや、主桁との角度、中間支点との間詰位置の離隔、桁端部パネル長さなどのパラメーターです。
床版を支える既設鋼桁の3Dモデリングには、オフィスケイワンの鋼橋CIMシステム「CIM-GIRDER」を採用しました。
このルールを元に、システムが床版の割り付け案を複数、自動作成します。作成した設計プランは、平面図や3Dモデルなどに変換して、次工程に引き継いで使えるので、二重入力のムダがありません。
このシステムによって、CADオペレーターに頼ることなく、
設計者自身
が工事の設計案を作れるようになりました。
実証テストを行った結果、従来の方法に比べて生産性は1.9倍に向上したとのことです。
【訂正】
最後の追加機能に関する記述を削除しました。(2023年2月8日)