管理人のイエイリです。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)の小型無人探査機「SLIM」は、2024年1月20日、日本初の月面着陸に成功しました。
その際、月面からひっくり返って着陸したSLIMの姿を撮影したのが、JAXAやタカラトミーなどが共同開発した超小型月面ロボット「SORA-Q」です。
一方、宇宙技術開発ベンチャーのダイモン(本社:東京都大田区)も、半球状の車輪がついた月面探査車「YAOKI」を開発しています。
こちらは、NASA(米航空宇宙局)が人類を再び月に送る「アルテミス計画」の一環として、2024年春に月の南極付近に送り込まれ、地球からの遠隔操作で月面走行や月表面の接写などを行う予定です。
上の写真を見ると大きく感じますが、YAOKIの大きさは150mm×150mm×100mmで、重量は0.5kgと超小型軽量です。車輪は楕円形で高い走破性を持っており、転倒しても走行可能なため「七転び八起き」に由来して命名されました。
ダイモンは、こうした特長を持つYAOKIをもとに、月面探査に続く用途として、
ナ、ナ、ナ、ナント、
天井裏点検ロボット
の開発を進めているのです。(ダイモンのプレスリリースはこちら)
月面探査車を天井裏点検ロボットに改造するため、2輪を4輪に変更して配管などの乗り越え性能を高めます。
車輪は、材質を耐熱樹脂から弾性材などに変更してグリップを高めるともとに、形状を月面の砂地用から点検に適した形に変更します。
また、センサーは月面探査用カメラから広角カメラに変更し、
立体把握センサー
などを追加搭載して点検精度を高めます。
天井点検用のロボット開発には、東京都中小企業振興公社の「令和5年度TOKYO地域資源等を活用したイノベーション創出事業」による補助を受けており、2024年内に完了する予定です。
販売先はビルオーナーや管理会社、メンテナンス会社などを想定しています。将来は公共施設ビルやマンション、インフラ設備など点検対象を広げるほか、被災地救済ロボットや配管・廃炉点検ロボットの開発も計画しています。
天井裏には多数の障害物があるため、車輪式のロボットで隅々まで動き回れるかが心配ですが、先行する超小型ドローン(無人機)は天井裏を自由に飛び回れる半面、配管裏や狭いすき間を点検しにくく、1回の点検時間が限られるという課題もあります。
車輪型の超小型ロボットとドローンと補完しながら、現場の状況に応じて効率的な点検が行えるようになりそうですね。