管理人のイエイリです。
橋脚やダムなどのコンクリート構造物の施工では、下層のコンクリートを打設した後、1~2日後に上層のコンクリートを打ち継ぎすることがあります。
その際、下層のコンクリート表面に浮いてきた、「レイタンス」と呼ばれるセメントや骨材の微粒子をブラシや高圧水で取り除く打ち継ぎ処理を適切に行わないと、継ぎ目の強度や耐久性が低下します。
打ち継ぎ処理の良しあしは、ベテラン技術者が現場を目視し、経験によって判定していました。しかし、今後の人手不足を考えると、ベテラン頼りの施工管理法だと困る場面も想像できます。
そこで安藤ハザマは、経験の浅い技術者でも、瞬時に打ち継ぎ処理の良否判定ができる打ち継ぎ面処理評価システム「ミドリガメ」を開発しました。
タブレットで打ち継ぎ処理中のコンクリート表面を撮影すると、数秒で画像処理を行い、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ビジュアルに可否判定
を表示してくれるのです。(安藤ハザマのプレスリリースはこちら)
よい打ち継ぎ面は、細かい粒子によるレイタンスが取り除かれ、骨材のゴツゴツした面が表面に出ている状態です。
これを画像処理で判定するためには、コンクリート表面を撮影した写真を「ぼかす」、「シャープにする」の2種類で処理し、その差分を取ります。
この差分画像から、骨材の面積割合を定量的に算出し、メッシュごとに「処理十分」「処理不十分」の判定結果を表示するわけです。
不十分な場合は、その場で打ち継ぎ処理を追加して行えるので、高品質な構造物を作ることができます。
パラメーター設定を変えれば、
乾いた打ち継ぎ面
でも簡単、かつ適切に判定が行えます。
また、判定結果は自動的にタブレット端末に保存されるので、トレーサビリティーも保たれます。
このシステムで注目すべきことは、ベテラン技術者の判定ノウハウを、画像処理の骨材面積やパラメーターに置き換えることで、“技術伝承”を実現したところです。
経験工学と言われる建設業では、こうしたソフトウエア的な技術伝承が、人手不足対策や時短に有効そうですね。