点群からBIM/CIM、工場製作へ! 大林組が橋梁の更新工事を日本初のデジタルツイン化
2022年11月22日

管理人のイエイリです。

日本では高速道路橋の7割が建設から30年以上、経過しており、各地でリニューアル工事が進んでいます。

これらの工事は現場の測量、設計、床版などの製作、そして施工という手順で行われます。大林組は、このワークフローを、デジタル技術で一元管理するクラウド型統合管理システム「OBRIS(オブリス)」(Obayashi Bridge Renewal Integrated System)を開発しました。

設計、製作、施工、維持管理の4つのシステムからなる「OBRIS」(以下の資料、写真:大林組)

設計、製作、施工、維持管理の4つのシステムからなる「OBRIS」(以下の資料、写真:大林組)

このシステムは、設計、製作、施工、維持管理の4つのフェーズに分かれたシステムで構成され、データが連携されることにより、生産性向上やヒューマンエラーを防止できるようになっています。

まずは設計を担う「OBRIS-D」(設計統合システム)は、既設橋梁の現在形状を3Dレーザースキャナーやドローン(無人機)で計測し、

ナ、ナ、ナ、ナント、

点群からBIM/CIM

モデルを作成することから始まるのです。(大林組のプレスリリースはこちら

点群データ(左)から作成されたBIM/CIMモデル(右)

点群データ(左)から作成されたBIM/CIMモデル(右)

このモデルをベースに、新設する床版や壁高欄の割り付け図を自動的に作成します。これまでの手動による割り付け検討に比べると、作業時間は10分の1程度に短縮できました。

自動作成した床版の割り付け図

自動作成した床版の割り付け図

設計データからは、OBRIS-P(製作統合システム)によって新設床版や壁高欄の製作用3Dモデルが作製され、工場でプレキャスト部材が作られます。その製作状況はカメラで監視・指導することで高品質を確保できます。

製作されたプレキャスト部材は、3Dレーザースキャナーで形状や寸法を計測し、製作用3Dモデルと比較することで誤差による合否判定を行います。

床版の工場製作の様子をカメラで監視しているところ

床版の工場製作の様子をカメラで監視しているところ

製作した床版の点群データ。製作用の3Dモデルと比較して誤差による合否判定を行う

製作した床版の点群データ。製作用の3Dモデルと比較して誤差による合否判定を行う

さらに点群計測結果を反映した各部材のBIM/CIMモデルによって、施工シミュレーションを行うことで、新設床版と現場の既存構造物との干渉も事前に確認します。

床版の取り換え工事で、BIM/CIMによるデジタルツイン(デジタルの双子)技術を活用するのは

日本初の取り組み

とのことです。

現場で新設床版を配置した位置は、座標データとしてOBRIS-C(統合施工システム)に記録され、設置誤差などをその後の施工にフィードバックします。

こうしたフィードバックによって床版設置時の四隅の目標位置を高精度に予測できるため、現場で設置にかかるタイムロスや全体の線形管理もクラウド上で可能になります。

3Dモデルによる床版の設置位置検討。断面が斜めになった「ハンチ」部とボルト頭の干渉も確認できる

3Dモデルによる床版の設置位置検討。断面が斜めになった「ハンチ」部とボルト頭の干渉も確認できる

工事が完了した後は、OBRIS-M(維持管理統合システム)で、測量から施工までの全データをクラウド上で管理します。その後の保守・点検時には、設計や品質管理、出来形寸法、施工日などのデータを、クラウドから引き出して活用できます。

クラウド上に格納されたデータで、床版の設置座標を確認したところ

クラウド上に格納されたデータで、床版の設置座標を確認したところ

これまでの床版更新工事は、図面など十分な資料が残っていないところからのスタートでしたが、これだけ詳細なデータが残っていれば、次回の更新工事はずっと楽にできそうですね。

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