管理人のイエイリです。
工事写真と言えば、昼の間に専用のカメラでパシャパシャ撮影し、暗くなってから事務所でパソコンに向かって整理するというイメージがありました。
しかし、2020年3月に国土交通省が工事写真の管理方法を定めた「デジタル写真管理情報基準」を改訂し、工事写真にCADのようなレイヤーを埋め込めるようになってから、進化してきました。(詳しくは、2020年11月16日付の当ブログ記事を参照)
施工管理ソフトの側から、国交省の「i-Construction」施策などの建設現場の生産性向上を支援する施工管理ソフトウェア産業協会(J-COMSIA)はこのほど、レイヤー化に対応した9社の工事写真管理アプリを公開しました。
工事写真の進化を象徴していたのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
「工事写真3.0」
という言葉を使っていたことです。(施工管理ソフトウェア産業協会のプレスリリースはこちら)
フィルムカメラ(第1世代)やデジタルカメラ(第2世代)の工事写真は、あくまで「ビジュアルの記録」が目的でした。これに対し第3世代の「工事写真3.0」はスマートフォンやタブレットのアプリで撮影し、従来の「記録」のほか「データとして活用する」ことを目的としています。
そのため工事写真3.0のデータは「写真レイヤー」「黒板レイヤー」「注釈レイヤー」の3つのレイヤーで構成され、写真のほか場所や工種、材料や設計値、実測値などの現場データも記録できるようになっています。これら全体を「SVGファイル」(拡張子は.svg)というファイル形式でまとめる仕組みです。
これらのデータを使って、台帳の自動作成が行えるほか、クラウドにビッグデータとして蓄積したり、AI(人工知能)と組み合わせて多角的な参照や分析を行ったりすることも可能です。
このように工事写真3.0は、従来の伝統的な工事写真から進化し、建設DXを強力に支える基盤となる技術です。J-COMSIAはこれを積極的に規定、推進する一環として、今回の「レイヤ化」アプリ認定を行いました。
J-COMSIAは公式サイトで、工事写真レイヤー化(SVGファイル)に対応した
ビューワーアプリ
の無償提供を開始しました。
サンプルのSVGファイルを使って各レイヤーの内容確認や切り替えのほか、「信憑性チェックツール」で改ざんチェックも行えます。
工事写真を撮影する機器は、以前は国交省の電子納品基準に準拠した専用カメラが主役でしたが、最近はタブレットやスマートフォンも幅広く使われています。
そのため、現場で撮影した写真データをその場でテレワーカーに送信し、写真整理の依頼を行うといった使い方も増えているようです。
工事写真3.0によって現場の進捗状況や安全作業の遠隔確認、そして発注者の遠隔臨場など、工事写真による新たな生産性向上策が期待できそうですね。