管理人のイエイリです。
計測・制御機器の老舗メーカー、アズビル(旧・山武)の事業の1つとして、生活に密着したサービスを展開する「ライフオートメーション事業」があります。
その主力製品が、「きくばり」という住宅用の全館空調システムです。1台の空調機で冷房、暖房、換気、空気清浄、そして除湿の5役を担うことができ、家の中の空気全体を快適に保つことができます。
全館空調システム「きくばり」の制御室。ここからダクトで最適な空気が住宅内のすみずみまで送られる(写真:TJCメディアラボ。以下、同じ) |
空調ダクトも壁の中を通すことで自由に吹き出し口を設けられるのが強みです。その一方で、ほとんどの機器や設備が見えないところにあるので、一般のユーザーにそのありがたさに気づいてもらいにくいという悩みもありました。
そこで、アズビルは同社の藤沢テクノセンターに設けたモデルハウス「空気と暮らしの研究所azbilハウス」に、
ナ、ナ、ナ、ナント、
iPadを使ったARシステム
を導入し、訪問者へのPRに使っているのです。
ARとは「拡張現実感(Augmented Reality)」のこと。TJCメディアラボが開発したカスタムARアプリ「全館空調システム 空間ARシステム」をインストールしたiPadをモデルハウス内にかざすと、壁や天井の裏側にあるダクトが見えるのです。
アプリをインストールしたiPadでモデルハウスの壁や天井にかざすとダクトが見える |
ARによって「見える化」を行うことで、快適な生活を支える空調設備の存在感がぐっと高まりますね。普通のエアコンは壁際にしか付けられませんが、ダクトを使って空気を送れる全館空調システムならば、キッチンの作業スペースのような奥まった場所でも自由に吹き出し口が設けられるメリットがよく理解してもらえます。
アプリをインストールしたiPadでモデルハウスの壁や天井にかざすとダクトが見える。1階、2階に通じるダクトの色を変えて空気の流れも見える化した |
住宅やビルの内壁と外壁、床と天井の間にはさまれた空間には、様々な知られざるものが建物の耐久性や省エネ性能などの機能を担っています。
例えば断熱材や構造部材、HEMS(住宅用エネルギー管理システム)の電波や配線などは、実際の建物やモデルハウスの取り付けられた状態を
ARで“透視”できる
ようにしておくと、建物の隠れた性能や品質、価値をユーザーに理解してもらいやすいのでしょう。
制震ダンパーをARで透視したイメージ |
このほか、下水道や共同溝、基礎など、インフラ・建設業界に無数にある“縁の下の力持ち”的な構造物を手がけている企業や団体の方も、ARによるPR作戦を考えてみてはいかがでしょうか。