管理人のイエイリです。
火事や災害で突然、停電した時、暗闇の通路で避難口を示してくれるのが高輝度蓄光式誘導板です。光のエネルギーを蓄え、真っ暗になってから数十分間、自分で発光するこの部材は、電源に頼らないので安心でき、また省エネの点でも優れていますね。
高輝度蓄光式誘導標識の例。明るいところで見たもの(左)と暗闇で見た時(右)(写真・資料:コンステック) |
既存建築物の劣化調査や診断から、耐震補強設計、改修工事までを手がけるコンステック(本社:大阪市)はこのほど、この誘導標識を使った設計に新機軸を採り入れました。
この高輝度蓄光式誘導標識を
ナ、ナ、ナ、ナント、
発光するBIMパーツ
として作ったのです。
階段踊り場のBIMモデル |
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明るい時(左)と暗い時(右)のCG。微妙な明るさなので画像をクリックして拡大して見てください | |
通路のBIMモデル | |
明るい時(左)と暗い時(右)のCG。微妙な明るさなので画像をクリックして拡大して見てください |
同社は今年1月、RevitなどのBIMソフトがセットになったオートデスクの「Building Design Suite」を東京支店に2セット、広島、福岡、松山の各支店に1セットずつ導入しました。上記のBIMモデルは、広島支店の女性担当者が独学でここまで仕上げたとのことです。
なお、上記の誘導標識は日本消防設備安全センター認定の「アルシオール高輝度蓄光式避難誘導板」、階段のステップが「アルシオール・ステップ」、その他ライン状のものが「アルシオール・ライン」となり、アベイラスの製品です。
アルシオール高輝度蓄光式避難誘導板(左)とアルシオール・ライン(右)のBIMモデル |
一般の建材は表面に当たった光の反射を解析することによりCGを作りますが、自ら光を放つ高輝度蓄光式誘導標識のCGはどうやって作るのでしょうか。
その秘けつは、部材の属性情報にありました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
マテリアルに輝度や色温度
が設定してあるのです。
輝度や色温度が設定されたマテリアル画面 |
蓄光材料の微妙な明るさをCG化する時、手作業だとどのくらいの明るさで表現していいのか迷いそうですが、しっかりと数値のデータに基づいてレンダリングすることにより、説得力とリアリティーのあるCGが作れるのはBIMの強みですね。
建材・設備メーカーさんは、部材の属性情報を定義したBIMパーツを設計者に提供することにより、製品の性能や良さが思わぬところで「見える化」してもらえるかもしれません。今後もユニークなBIMパーツの登場を期待したいです。