「勝ち負け」を自動調整!詳細図機能が充実したArchiCAD 17
2013年9月3日

管理人のイエイリです。

日本の建設業界で使われる詳細図や施工図は、細部まで書き込まれていて海外の図面より、ずっと精細だと言われます。例えば、下の図面はほぼ同じ縮尺で書かれた日本と海外の図面の例ですが、細かさの度合いが違うことが分かります。

日本の図面 海外の図面
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日本と海外の図面の細かさの違い(資料:グラフィソフトジャパン、写真:家入龍太。以下同じ)

これはBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトに求められる性能でも同様です。日本の設計者は外国製のBIMソフトに対して、より高度な図面作成機能を求めていることになります。

そこで9月25日にグラフィソフトジャパンが発売する「ArchiCAD 17」には、日本のBIMユーザーの要望にこたえて、様々な詳細設計機能が搭載されました。その1つは、床と壁、天井と壁が交差する部分などでの“勝ち負け”を自動的に調整する機能です。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

999段階の優先度

 

を各部材に設定しておき、数字が大きい方が自動的に“勝つ”ように接続されるのです。

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ArchiCAD 17(右)では優先度ベースの接続により“勝ち負け”が自動調整される

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優先度ベースの接続により細部をモデリングした例

もう一つの特徴は、部材の属性に「柱」や「梁」といった機能別の機能のほか、「ビルディングマテリアル」という材料別の機能が追加されたことです。例えば、床と梁が同じ「コンクリート」という属性なら、交差部分は自動的に「包絡」してつながり、実際の施工と同じように部材接合を表現できます。

優先度ベースの接続と、ビルディングマテリアルの機能を使うことで躯体の増し打ちなども納まりを正確に表現でき、数量計算も正確に行えるようになりますね。

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新属性「ビルディングマテリアル」によって、同じ材料がつながる部分は自動的に包絡処理が行われる

このほか、「壁芯」、「躯体中心」「躯体外側」など、どの面を基準に設計するかを指定する「基準線ベースの入力機能」や、壁や柱などが階高に追随する「要素の上部フロアリンク」、「見上げ・見下げ」の図面化、マルチコアCPUを有効利用したレンダリングのバックグラウンド処理などの新機能も搭載されました。

こうした新機能により、

 

浴室部分だけ床を下げた

 

モデリングや、日本の設計者が求める詳細図の作成が、ArchiCAD 17ではずっと効率的に行えるようになりました。

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床が下がった部分のモデリング例

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BIMモデルから作成した平面詳細図
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BIMモデルから作成した断面詳細図

とのことです。

日本の設計者のBIMソフトに対する機能追加や改善などの要求にこたえることは、海外のソフトベンダーにとっても利益につながるようです。例えば、「通り芯」の機能は、当初、日本の設計者のためだけにArchiCADに搭載されましたが、海外の設計者の間でも「便利だ」ということになり、今では各国のバージョンに標準搭載されているそうです。

ArchiCAD 17にはまだ、配筋関係の機能は搭載されていませんが、「詳細化」の流れが進むと、今後、実現するかもしれませんね。

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8月29日、東京で行われたプレス向け発表会で説明するグラフィソフトジャパンのコバーチ・ベンツェ代表取締役社長(左端)

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