ビルの冷水配管でラックを冷却!竹中工務店のモジュール型データセンター
2013年11月7日

管理人のイエイリです。

クラウドサービスの普及に伴い、立地のよい都心の既存建物に必要なとき、必要な台数のサーバーを設置・増設するニーズが高まっています。

このとき、問題となるのがサーバーの冷却方法です。既存の空調設備を使うと、空調機からサーバー室まで冷えた空気をダクトで送るのに大きな電力が必要です。

また、せっかくの冷たい空気がサーバーを冷やす前に排熱によって温まり、効率よく冷やせないという問題もあります。

そこで、竹中工務店は建設業のノウハウを生かした最新型の「モジュール型データセンター(SEED BLOCK DC)」をこのほど開発しました。

ナ、ナ、ナ、ナント、サーバーラックに

 

ビルの冷水配管を直結

 

した独自開発のラック型空調機を採用したのです。

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「SEED BLOCK DC」の標準モジュール(6ラック×2列、約30m2)(資料・写真:竹中工務店。以下同じ)

この空調機はサーバーラック列の端部に配置され、冷えた空気を2列のラックにはさまれた空間(コールドアイル)に吹き込み、サーバーラックを通過した空気を外側(ホットアイル)に排出します。

暖まった空気は再び空調機で冷やし、ラック間の空間に吹き込む、というように気流を平面的に旋回させることによって冷却効率を高めます。

空調ダクトの吹き出し口や室内の気流循環スペースを考慮する必要がないので、天井高が2.6m以上あれば「SEED BLOCK DC」を設置できます。

空調機にはインバーター制御で回転数を自由に変えられる直流ファンを搭載しているので、「冷やし過ぎ」がありません。

また、サーバーの稼働状況に応じて空調機の風向やファン風量までをリアルタイムで変化させて各ラックの温度を最適に制御し、最小電力でIT機器の稼働環境を保持します。そのため、高効率な省エネ空調を実現できます。

そのため、サーバー室全体の電力をIT機器の電力で割った

 

パーシャルPUE値が1.1台

 

という、高い省エネ性能を持っているのです。

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竹中工務店の技術研究所に作られたモックアップ(ハーフモジュール)

 

このほか、ラックには「サーバーラック免震システム」が内蔵されており、地震に対しても高い信頼性を確保します。

また、空調機は冷却コイルを2重化したり、ファン台数を追加したりできるほか、分電盤も余裕を持たせた設計にすることができます。建物側の設備を追加・変更が不要の場合、最短約3カ月で納入できるそうです。

同社は「SEED BLOCK DC」のハーフサイズのモックアップを、千葉県内にある竹中技術研究所に設置し、模擬負荷をかけて稼働させて性能を確認したそうです。

ビルの冷水配管を使って、サーバーラックを冷やす仕組みは、まるで窓際の空調を行う「ファンコイルユニット」のようです。既存設備をうまく活用した建設会社ならではのアイデアと感心しました。

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