管理人のイエイリです。
日本の社会インフラは、新設から維持管理の時代へとシフトしつつあります。建設業界でも、維持管理分野のビジネスチャンスを生かそうという取り組みが活発になってきました。
そんな中、パシフィックコンサルタンツは新型のトンネル点検車「MIMM-R(ミーム・アール)」を計測検査、三菱電機、ウォールナットと共同開発し、4月から運用を開始することになり、昨日(2/25)、東京・新宿で説明会を行いました。
前機種の「MIMM」と同様に、トンネル内壁の形状や変位、ひび割れなどを3Dレーザースキャナーやデジタルカメラで計測する機能を備えていますが、今回は新機能として、
ナ、ナ、ナ、ナント、
トンネル内壁の裏を透視
する画期的な機能が追加されたのです。
車体のてっぺんに装備している電磁波レーダーから、トンネルの頂部に向けて電波を発射し、その反射波を解析することで、内部の空洞や覆工コンクリートの厚さなどを計測することができます。
時速50kmのスピードで走行しながら、トンネル内壁から60cm~1m奥くらいまで計測できます。そのため交通規制は必要ありません。
車体の側面には方向を変えられるデジタルカメラとLEDライトが多数、取り付けてあります。その解像度は高く、時速70kmで走行しながら毎秒30コマの写真を撮影し、幅0.2mmのひび割れを発見できるとのことです。
また、車体の前後にはMMS(モービル・マッピング・システム)で使われている3Dレーザースキャナー(SICKレーザースキャナー)を1台ずつ搭載しているほか、最後部には毎秒200回転しながら毎秒100万点を計測できる高精度3Dレーザースキャナー(S2100レーザースキャナー)が搭載されています。
トンネル内壁を周方向に4mmピッチで計測できるので、内壁の形状を3Dで細かく記録できます。前回の測定結果と比較することで、各部分の変位を高精度で求めることができます。
トンネル内面のコンクリートには、ひび割れが発生することがよくありますが、その原因は外部の地盤による変形なのか、乾燥収縮によるものなのかは見た目だけではなかなかわかりません。
その点、ひび割れとトンネル内壁の変位を重ね合わせて見ることで、
ひび割れの原因
を知ることができます。
パシフィックコンサルタンツは、前機種のMIMMで国や地方自治体のトンネルを149本、総延長約100kmを計測しており、NEXCOのトンネルを含めると約1000kmを計測した実績があるそうです。
パシフィックコンサルタンツ交通基盤事業本部長の徳川和彦さんは、「トンネル内壁の変位は、完成直後のトンネル内面を3D計測したデータが比較の基準になります。トンネルが完成した時は、ぜひ、MIMM-Rで計測してほしい」と語っていました。