管理人のイエイリです。
全国各地で未利用地などを利用した大規模な太陽光発電所を見かけることが多くなりました。長野県北安曇郡池田町の養魚場跡地でも、出力約900kWの太陽光発電所の建設が計画されています。
同町は「日本で最も美しい町」を目指しており、この場所に太陽光発電所を建設するのは「景観に支障をきたす」などの理由で建設計画が頓挫しそうになったこともあります。
そこで、事業主体のソーラーカナモリ(長野県大町市)は、NPO地域づくり工房(大町市)に委託し、太陽光発電所の建設における景観面や環境面などの影響を様々な角度から検討する「自主簡易アセスメント(スモールアセス)」を実施しています。
様々な場所や角度からの太陽光発電所の見え方を確認するのに使われているのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
バーチャルリアリティー
ソフトなのです。
飛行機から現場を見下ろすように見た時は、確かに田畑の中に黒い太陽光パネルが並んでいる様子がよく見えます。しかし、視点を近くの道路上や民家の2階に移したときは、太陽光パネルは意外と目立たないことがわかります。
その大きな理由は、現場が以前、養魚場だったので地盤が少し低くなっていることが挙げられます。地図や図面からでは、太陽光発電所がどのように見えるのかはなかなか想像できませんが、地盤の高低差を考慮した検討ができるのは、さすがVRですね。
太陽光発電所の景観をよくするために周囲に小堤や生け垣を植えたり、下に水を張ったりする例もあります。スモールアセスでは、こうした対策がどの程度、功を奏するのかについても検討しました。
例えば、同町の高台にあるあずみ野池田クラフトパークから見下ろしたときに、生け垣や水面がある場合とない場合を比べてみると、ほとんど差がわかりません。
このほか、周辺の道路を
工事関係のトラック
が通行する時の様子もシミュレーションしています。
これらの検討には、VRソフトの「UC-win/Road」を使いました。地域づくり工房では、これらのスモールアセスに基づいたシミュレーション結果を評価書案としてまとめ、ウェブサイトで公開しています。太陽光パネルの反射による光害やパワーコンディショナーによる電波障害、騒音など、考えられる問題とその程度についても検討していることがわかります。
さらに3月17日まで、メールやFAXにより意見や質問、感想も求めており、随時、ウェブ上で回答していきます。問題になりそうなことを小出しに答えるのではなく、事業者側から洗いざらい、積極的に情報公開することで近隣住民とのコミュニケーションが図られ、事業への理解が得られやすくなるのかもしれませんね。