BIM/CIM時代のクレーン!三井住友建設が3Dでブームを可視化
2014年9月18日

管理人のイエイリです。

高圧電線や高架橋に近い場所でクレーン作業を行うとき、気をつけなければいけないのは、クレーンのブームが電線や構造物に接触しないようにすることです。

これまでは、ブームの回転、上下、伸縮の動きに伴って時々刻々と移動するブーム先端の位置を確認するのに、安全監視員による目視確認やクレーンのリミッター機能、2次元レーザーなどを使ってきました。

鉄道の営業線近接作業でのクレーン作業。ブームが動ける範囲はごくわずかです。守谷車両基地にて(写真・資料:三井住友建設。以下同じ)

鉄道の営業線近接作業でのクレーン作業。ブームが動ける範囲はごくわずかです。守谷車両基地にて(写真・資料:三井住友建設。以下同じ)

しかし、制限エリアの形が曲線だったり、3次元的に複雑だったりすると安全側にエリア設定を行うため、作業できる空間を有効に活用できませんでした。

そこで三井住友建設は3次元でクレーンの作業エリアを監視する「3Dクレーンブーム位置監視システム」を開発しました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

GPSでブーム位置

 

をリアルタイムに計測し、制限エリアに接近した場合には警報を出してくれるシステムなのです。

クレーンのブーム先端に取り付けられたGPSアンテナ

クレーンのブーム先端に取り付けられたGPSアンテナ

「3Dクレーンブーム位置監視システム」のイメージ図

「3Dクレーンブーム位置監視システム」のイメージ図

現場にGPS(全地球衛星測位システム)の基地局を置き、クレーンのブーム先端には無線LAN搭載のGPS受信アンテナを取り付けます。

ワイヤレスなのでブームが伸縮したり屈伸したりしても大丈夫です。また、複数のクレーンを同じシステムで統合的に監視できますので、クレーン同士が接近して作業するときも安心ですね。

また、制限エリアの設定にはGPS座標を使うため、一度設定すればクレーンが移動しても再設定することなく作業が続けられます。

クレーン先端の位置は、現場のタブレット端末やパソコンを使って、

 

3D空間で様々な視点

 

から見られます。例えば、制限エリアの真横などから見ると、地上からでは見えづらかった構造物との離隔距離が手に取るように分かります。

タブレット端末で視点を変えながらブーム先端位置を確認できる

タブレット端末で視点を変えながらブーム先端位置を確認できる

タブレット端末での監視。上切高架橋にて

タブレット端末での監視。上切高架橋にて

現場事務所のパソコンによる監視。上切高架橋にて

現場事務所のパソコンによる監視。上切高架橋にて

三井住友建設は国土交通省中部地方整備局発注の「平成25年度 東海環状上切高架橋PC上部工事」などでこのシステムを開発し、今回、鉄道施設・運輸施設整備支援機構発注の「つくばエクスプレス線、守谷車両基地入出庫線複線化工事」に導入しました。

制限エリアの空間を設定するためのポイント数には上限がありません。そのため、複雑な形状でも大丈夫です。

同社はBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の地形や構造物の3Dモデルと、3Dクレーンブーム位置監視システムの連携も視野に入れています。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトで建物の設計を行うとき、斜線規制などをクリアできる空間を“鳥かご”のように設定し、その中に納まるように作業を進めていくことがあります。

クレーン作業の安全管理も同様に、バーチャルな鳥かごを設定しておき、その中で作業するというのが一般的になるかもしれませんね。

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