管理人のイエイリです。
コンクリート構造物などで、浮きや空げきなどの異状を発見するときには、小さなハンマーでコンクリート表面をたたき、その音を聞いて判断する「打音検査」が使われます。
ハンマーでたたいた位置と発生する音の高さや音質から、検査員が異状を判断してコンクリート表面にチョークなどでマークを付けるという作業風景は何十年も前から変わりませんね。
この作業を「見える化」するため、熊谷組は「指向性音カメラ」という新兵器を開発しました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
音の方向、大きさ、高さ
を、写真上に見える化してくれるのです。
使い方はコンクリート壁などに向けて音カメラを設置し、壁の表面をたたきます。
すると画面写真上にたたいた位置に、音の高さに応じた大きさの丸印が、音の高さに応じた色で表示される仕組みです。
例えば下のように浮きや空げきを作った試験体を用意し、コンクリートのいろいろな部分をハンマーでたたきます。
するとコンクリート表面の画面には、
浮きの部分はオレンジ色
で、空げきがある部分は黄緑色で、それぞれ円マークがリアルタイムで表示されるという仕組みです。
熊谷組は以前、中部電力や信州大学の山下恭弘名誉教授と音カメラを開発し、2001年6月13日に発表していました。しかし、全方位の音を計測する仕組みだったため、壁などで囲まれた場所では直接届く音と反射した音が干渉し、音の発生方向を特定しにくい場合がありました。
そこで今回、カメラ後方に遮音層を設けることで反射音による干渉の影響などを最小限にとどめられるようになったそうです。
熊谷組はこの指向性音カメラを橋梁の劣化点検ツールとして、地方自治体や設計事務所、建設コンサルタントなどに積極的に提案していくそうです。
これで、橋の打音作業から判定、記録するまでの一連の作業は、かなり効率化されそうですね。