管理人のイエイリです。
福岡県大川市に本拠を構える昭和組は社長以下、現場員が8人、事務員が2人の小さな建設会社です。
昨年度(2014年度)、大川市内で施工した大川高架橋の下部工工事(国土交通省九州地方整備局福岡国道事務所 有明海沿岸道路出張所)の「P17橋脚」では、高密度な鉄筋工事という“ピンチ”に直面しました。
太い鉄筋や配力筋、PC鋼線を通すシース管、橋桁を支えるシューなどが複雑に絡み合い、設計図通りに施工した場合に干渉が発生する可能性があり、手戻りが発生すると工程全体の遅れにつながることになるからです。
そこで昭和組がこのピンチを克服するためにとった方法とは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
SketchUpで鉄筋を3D化
し、フロントローディング(業務の前倒し)によって干渉問題を解決しておくことでした。
柱の主筋であるD51鉄筋は、現場で簡単に曲げることはできません。そこで干渉した場合、位置をずらす必要があります。
そうなると今度はフーチングと交換杭の接合方法なども変更が必要になったりと、他の部分に影響が及びます。
こうした検討を現場で施工に入る前に、3Dモデリングソフト「SketchUp Pro 2014」とDWG互換CADソフト「Bricscad」で検討した結果、現場ではスムーズに施工が行えたとのことです。
かかった費用は、SketchUp Proが9万9000円、Bricscadが7万1000円です。かかった時間は座標計算が2時間、3Dモデルの作成が1日程度でした。
しかし、3Dモデルによる検討効果は絶大で、現場では
ナ、ナ、ナ、ナント、
約20人工のロスを削減
できたとみられています。
発注者の福岡国道事務所からも、CIMで表現できている点はわかりやすくかった。特に、紙では表現出来ない問題が見られるのはすばらしいと、おほめの言葉をいただいたそうです。
この工事は発注者からCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の使用が義務づけられてはいませんでしたが、同社が施工管理の方法として独自に3Dモデル化を行ったものです。
中小の建設会社もSketchUpやDWG互換CADという低コストのツールで、CIMならではの生産性向上が行えるというお手本のようなプロジェクトですね。
昭和組は情報化施工にも取り組んでいます。また機会をあらためてご紹介しましょう。