管理人のイエイリです。
国土技術政策総合研究所(以下、国総研)のウェブサイトでは、木造住宅が地震動でどのように倒壊するのかをリアルに解析する木造住宅の倒壊解析ソフトウェア「wallstat(ウォールスタット)」が公開されています。
国総研の建築研究部材料・部材基準研究室で主任研究官を務める中川貴文さんが開発したものです。当ブログでも2012年12月11日付けの記事で詳しくお伝えしました。
2010年12月の公開以来、今年4月末までに4409回ものダウンロードがあったそうですので、皆さんの中でも試してみられた方は多いでしょう。
その「wallstat」の最新版「ver.3」が6月11日に発表され、さらにパワーアップしました。
驚くべきことに、
ナ、ナ、ナ、ナント、
数十棟を一度に解析
できるようになったのです。
この機能を使うと、少しずつ強度を変えた建物を配置し、同じ地震波形を使って一度に解析することで、倒壊を左右する強度の境界が見えてきます。
YouTubeで公開されている動画
もう一つ、進化したのは「CEDXM(シーデクセマ)形式」という木造住宅のCADデータが読み込めるようになったことです。この形式は、プレカット工場で使われている製造業系のCADと、建設業界で使われているCADソフトの間でデータ交換を行えるようにするために開発されたものです。
CEDXM形式のデータを書き出せるCADソフトには、メガソフトの「3DマイホームデザイナーPRO」や福井コンピュータアーキテクトの「ARCHITREND Z」、コンピュータシステム研究所の「VST7」などがあります。
CEDMX形式に対応したことで、設計した住宅の3Dモデルをwallstatに読み込み、簡単な操作で地震応答シミュレーションを実行できるようになりました。
今回のバージョンアップに当たり、様々な建物モデルで行った解析例のサンプル動画が、
YouTubeで多数公開
されました。
「wallstat movie」というチャンネルには、傾斜地に立つ木造家屋や3階建て木造住宅などの倒壊解析結果など、十数本の動画が公開されています。
傾斜地に立つ木造家屋の解析例 | 3階建て木造住宅の解析例 |
実物の振動台で実験するのには多くの費用と時間がかかりますが、フリーソフトによる倒壊シミュレーションは手軽にできます。
設計した建物が地震に対してどんなところに弱点があるのかをチェックするのに、便利に使えそうですね。