木造家屋がリアルに倒壊!国総研のフリーソフト「wallstat」が進化
2015年6月16日

管理人のイエイリです。

国土技術政策総合研究所(以下、国総研)のウェブサイトでは、木造住宅が地震動でどのように倒壊するのかをリアルに解析する木造住宅の倒壊解析ソフトウェア「wallstat(ウォールスタット)」が公開されています。

国総研の建築研究部材料・部材基準研究室で主任研究官を務める中川貴文さんが開発したものです。当ブログでも2012年12月11日付けの記事で詳しくお伝えしました。

2010年12月の公開以来、今年4月末までに4409回ものダウンロードがあったそうですので、皆さんの中でも試してみられた方は多いでしょう。

木造住宅の倒壊解析ソフトウェア「wallstat」の機能。住宅の3Dモデルを振動台で揺らしているかのように倒壊過程がシミュレーションできる(以下の資料:中川貴文氏)

木造住宅の倒壊解析ソフトウェア「wallstat」の機能。住宅の3Dモデルを振動台で揺らしているかのように倒壊過程がシミュレーションできる(以下の資料:中川貴文氏)

その「wallstat」の最新版「ver.3」が6月11日に発表され、さらにパワーアップしました。

驚くべきことに、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

数十棟を一度に解析

 

できるようになったのです。

強度を少しずつ変えた数十棟の建物を配置した3Dモデル

強度を少しずつ変えた数十棟の建物を配置した3Dモデル

ある地震動による解析結果。倒壊を左右する強度の境界が見えてくる

ある地震動による解析結果。倒壊を左右する強度の境界が見えてくる

この機能を使うと、少しずつ強度を変えた建物を配置し、同じ地震波形を使って一度に解析することで、倒壊を左右する強度の境界が見えてきます。

YouTubeで公開されている動画

もう一つ、進化したのは「CEDXM(シーデクセマ)形式」という木造住宅のCADデータが読み込めるようになったことです。この形式は、プレカット工場で使われている製造業系のCADと、建設業界で使われているCADソフトの間でデータ交換を行えるようにするために開発されたものです。

CEDXM形式のデータを書き出せるCADソフトには、メガソフトの「3DマイホームデザイナーPRO」や福井コンピュータアーキテクトの「ARCHITREND Z」、コンピュータシステム研究所の「VST7」などがあります。

CEDMX形式に対応したことで、設計した住宅の3Dモデルをwallstatに読み込み、簡単な操作で地震応答シミュレーションを実行できるようになりました。

CAD図面データをCEDXM形式で書き出す

CAD図面データをCEDXM形式で書き出す

CEDXM形式を介してwallstatに読み込み、解析した例

CEDXM形式を介してwallstatに読み込み、解析した例

今回のバージョンアップに当たり、様々な建物モデルで行った解析例のサンプル動画が、

 

YouTubeで多数公開

 

されました。

wallstat movie」というチャンネルには、傾斜地に立つ木造家屋3階建て木造住宅などの倒壊解析結果など、十数本の動画が公開されています。

傾斜地に立つ木造家屋の解析例 3階建て木造住宅の解析例
YouTubeの「wallstat movie」チャンネル。既に数十本の動画が公開されている

YouTubeの「wallstat movie」チャンネル。既に数十本の動画が公開されている

実物の振動台で実験するのには多くの費用と時間がかかりますが、フリーソフトによる倒壊シミュレーションは手軽にできます。

設計した建物が地震に対してどんなところに弱点があるのかをチェックするのに、便利に使えそうですね。

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