オランダで快挙!打ち込み型枠を3Dプリンターで造形
2016年6月20日

管理人のイエイリです。

先日、ドバイで3Dプリンターで造った世界初のオフィスがオープンしました。コンクリートで造形する「3Dコンクリートプリンター」で実物の建物や構造物を造る技術は世界に広がっているようです。

オランダの建設会社、ハイジマンズ(Heijmans)とサイブ・コンストラクション(CyBe Construction)はこのほど、3Dコンクリートプリンターによって

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

2つの打ち込み型枠を造形

 

することに成功したと、6月16日に発表したのです。

3Dコンクリートプリンターで造形中の打ち込み型枠と、ハイジマンズの技術開発マネジャー、ユリエ・ファンデルフェン氏(Images:Heijmans/Maikel Samuels)

3Dコンクリートプリンターで造形中の打ち込み型枠と、ハイジマンズの技術開発マネジャー、ユリエ・ファンデルフェン氏(Images:Heijmans/Maikel Samuels)

「打ち込み型枠」とは、内部に生コンクリートを打設するものですが、打ち込み型枠自体がコンクリート部材の表面となります。そのため、従来の仮設の型枠を組み立てて、コンクリート打設後に解体・撤去する作業が必要ありません。

1つめに造った型枠は、幅1.25m×厚さ0.35m×高さ3.1mの四角いものです。産業用ロボットのアーム先端に取り付けられたノズルから、コンクリート状の材料をソフトクリームのように型枠の断面に沿って少しずつ積み上げて造りました。

造形中の打ち込み型枠

造形中の打ち込み型枠

材料を積み重ねながら造形するノズル

材料を積み重ねながら造形するノズル

ノズルの先端

ノズルの先端

材料にはサイブ・モルタル(CyBe Mortar)というものを使い、造形はわずか30分で終了しました。造形後、コンクリートの打設に耐えられるかどうかを試すため、型枠の内部に水を注入して試験を行いました。

「部材の強度などは事前に計算したよりも優れていたことに満足している」と、サイブ・コンストラクションのベリー・ヘンドリックス(Berry Hendriks)氏は感想を述べました。

生コンによる側圧に耐えられるかどうかを確かめるため、型枠に水を満たしてテストした

生コンによる側圧に耐えられるかどうかを確かめるため、型枠に水を満たしてテストした

2つめの型枠は、1つの側面が広がったり、狭まったりと波打った形をしています。高さは2.5mで、造形は約25分で完了しました。

3Dコンクリートプリンターで造形した部材は、どうしても造形時に層状の模様が残ってしまいますが、こちらの型枠は意匠性の向上にもチャレンジしました。

というのは、型枠の下半分を滑らかにするコテ仕上げを行ったのです。

2つめに造形された打ち込み型枠。下半分は滑らかな面に仕上げられた

2つめに造形された打ち込み型枠。下半分は滑らかな面に仕上げられた

打ち込み型枠の基部には鉄筋を入れて補強した

打ち込み型枠の基部には鉄筋を入れて補強した

この型枠は内部に生コンを打設し、オランダ南部のロスマーレンにあるハイジマンズ本社前に据え付けられました。

両社は最近、複雑なデザインの住宅や高架橋などの注文が増えています。従来の型枠でも対応は可能ですが、型枠の設計や施工に多くのマンパワーが必要です。

その点、3Dコンクリートプリンターで打ち込み型枠を造ると、自由な形が作れるうえに、

 

コストは50%オフ

 

まで可能になるとのことです。

両者は2017年半ばまでに、3Dコンクリートプリンターで作った打ち込み型枠を実プロジェクトで使用開始することを目指しています。

国土交通省が推進する「i-Construction」政策でも、打ち込み型枠やプレハブ部材を使った生産性向上策に取り組んでいますが、負けてはいられませんね。

(Visited 8 times, 1 visits today)

Translate »