管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)による設計が普及した今、実務者の間でときどき聞かれるのが「“I”のないBIM」という言葉です。
つまり、3Dで建物をモデリングしたのはいいけれど、BIMのもう1つの特徴である属性情報(Information)をほとんど有効活用していないということです。
そこでグラフィソフトは、9月28日に発売する同社のBIMソフト「ARCHICAD」の最新版である「ARCHICAD 20」の開発テーマとして、
ナ、ナ、ナ、ナント、
BIMの“I”を徹底活用
することに重点を置いたのです。
その1つが、属性情報を表計算ソフト「Excel」に書き出したり、逆にExcelからARCHICADに読み込んだりする相互連携機能です。
ARCHICADで部材を1つひとつ選んではプロパティー画面を開き、属性情報を入力していく作業に比べると、Excelで一気に入力できるのは効率的で、入力漏れが起きにくくなります。
また、工事現場では施工管理を担当する技術者が作ったExcelの日報を利用して、各部材を設置した日時や専門工事会社名などを、BIMモデルに入力するといった使い方もできそうですね。
2つ目が、属性情報によって色分け表示を柔軟に追加できる「表現の上書き」機能です。例えば、平面図で部屋の種類ごとに色を変えたり、防火区画や耐力壁だけに色を付けて表示したりと、様々な目的で自由自在に色分け表示を活用できます。
大分類、中分類、小分類、床仕上など、分類のレベルごとにも色分けを設定できるので、マクロからミクロまでのチェックが簡単に行えそうです。
部材の属性情報を使って、他のソフトとデータ交換するときには、BIM用のデータ交換標準「IFC」を使います。
今回のバージョンでは、従来の「IFC2x3」形式に加えて、2013年3月にリリースされた
最新版の「IFC4」
とのことです。
IFC4では4D(時間軸)や5D(コスト軸)のほか、構造解析やエネルギー解析、環境評価、GIS座標との連携、パラメトリックモデリングなどの情報も受け渡す機能があるようです。(詳細は、buildingSMARTの英文PDFを参照)
このほか、よく使う2Dや3Dのパーツを「お気に入り」に登録する際、わかりやすいサムネールが自動生成される機能や、モバイルアプリのようにモダンなアイコンデザインが導入されました。
気になるお値段ですが、「ARCHICAD 20 レギュラー版」が72万円(税別。以下同じ)、簡易版の「ARCHICAD 20 Solo」が29万5000円と、以前のバージョンと同じです。
このほか、オプションの設備用ツールとして「MEP Modeler for ARCHICAD 20」が8万9800円で発売されます。
グラフィソフトジャパンでは、「ARCHICAD 20 製品発表会」を8月31日に東京、9月2日に大阪で開催します。東京会場の方は既に満席のようですが、大阪会場はまだ空きがあるようですので、ご興味のある方はどうぞ!