管理人のイエイリです。
昨日(9月8日)、東京・芝公園でオートデスクのユーザーイベント「AU Japan 2016」が開催されました。
「INSIGHT. INNOVATION. INSPIRATION.」(洞察、革新、ひらめき)をテーマに、建設やものづくり、エンターテインメントのほか、医療やロボットなど様々な分野での3D技術の最先端を集めたイベントは、医療過去最高の2000人が来場し、ますますパワーアップしました。
午後は4つのランチオンセミナー、13トラック同時開催のセミナーも行われ、どれに参加するべきかと、大いに迷いました。
そんな中、最後の時間帯で注目を集めたのが、フリーダムアーキテクツデザイン 設計事業本部事業開発部長の長澤信さんによる講演でした。
同社は先月、日本で初めて建築確認申請の審査機関である住宅性能評価センターにBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルを提出し、2件の申請に対して確認済証を交付されました。(詳細は、当ブログ9月2日付けの記事を参照)
長澤さんは講演の中で、建築確認申請用に開発したBIMソフト、Revit用のテンプレートについて詳しく説明しました。
これまで、同社が「4号建築物」と呼ばれる住宅の建築確認申請を行うとき、審査機関には20枚ほどの図面や計算書などを提出していたそうです。
それが、
ナ、ナ、ナ、ナント、
BIM化によりわずか6枚
に減ったというのです。
審査機関には、確認申請用の図面として案内図、配置図、求積図、平面図、立面図、断面図を表示するテンプレート付きのBIMモデルを提出しました。
そして、BIMモデルを受け取った審査機関の側で紙の図面を印刷し、審査したそうです。
各図面や計算書はBIMモデルから生成されていますので、「平面図と立面図が食い違っている」といった設計図書間の食い違いは発生しません。
審査機関自らが図面を印刷することで、紙図面段階での不正などが行いにくくなるほか、整合性のチェックという手間ひまを要するチェック作業がほとんど必要なくなります。
また、テンプレートの作成に当たっては「図面は最小限にし、同じ情報は2度以上書かない」ということを徹底したそうです。設計者だけでなく、審査機関側にも、BIMによる確認申請は大きな効率化につながるというわけですね。
また、審査機関とのデータのやりとりには、電子署名「F-2 Web」を使い、セキュリティーも確保しました。
今回の成功を踏まえて、フリーダムアーキテクツデザインは、
初年度100件
のBIMによる建築確認申請を実施していきたいとしています。
同社は15の拠点と、約150人の設計者を擁していますが、BIMの導入は2014年と意外に後発組です。
しかし、BIMによる設計の生産性を高めるため、試行錯誤しながら自社で使うテンプレートを改良するなどの努力を行ってきました。その先に、今回の確認申請があったというわけです。
今回のテンプレートは4号建築物用ですが、今後、構造計算や仕様規定などの要素を加えて2、3号建築物や1号建築物にも対応させていくとのことです。
審査機関までを巻き込んだ同社のBIMによる行動力には、大いに感心しました。