管理人のイエイリです。
最近は異常気象による大雨で、道路や鉄道の法面(のりめん)が破壊されたというニュースをよく見聞きします。
他の構造物と同様に、盛り土や切り土の法面も更新時期に入っているものが多くなり、崩壊の前兆を、スピーディーに検知することが求められています。
そこで、大林組は突発的な法面崩壊の危険性を判断する「マルチGNSS地盤変位計測システム」を開発しました。
人工衛星からの電波を受信するセンサーを法面上に取り付け、常時、位置を計測することで地すべりなどを早期に検知するものです。
従来も類似のシステムがありましたが、米国のGPS衛星だけを使っていたため、位置計測の頻度が60分に1回でした。
ところが、このシステムでは高感度のマルチGNSSセンサーを採用したため、GPS以外の準天頂衛星やロシアのGLONASS、欧州連合のGalileoなども利用できるようになったため、
ナ、ナ、ナ、ナント、
5分に1回の頻度
で、ほぼリアルタイムに法面の変状を観測し、スピーディーに前兆現象を報告できるようになったのです。
突発的な法面崩壊などの前兆を判断するため、新しい解析アルゴリズムも開発されました。
これらの前兆を検知できるようになったので、警報や避難指示、車両の通行禁止などの措置をより早くとることができます。
もう1つの特徴は、センサーの設置から運用までの費用を大幅に削減したことです。
センサー間の通信には無線LANを使い、電源にはソーラーパネルとバッテリーを用いているため、ケーブル配線が不要になりました。
また、データの監視は従来、計測会社の社員が行っていましたが、このシステムでは無人化されたため人件費がいりません。
そのため、接地・運用コストは、
約2年間で従来の半額
程度になります。
土工構造物まで、IoT(Internet of Things)に取り込まれつつあるようですね。維持管理段階のCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)にも、大いに利用できそうです。