管理人のイエイリです。
高架橋などに使われるPC(プレストレストコンクリート)は、コンクリートを強力なPCケーブルで締め上げて圧縮力を加えることで、鉄筋コンクリートよりもスリムで頑丈な構造物が作れます。
PCケーブルにかける張力は、これまでは施工中に計測することはあっても、いったん構造物が完成するとその後は測るのが難しいという課題もありました。
そこで鹿島は住友電工スチールワイヤー(本社:兵庫県伊丹市)、ヒエン電工(本社:大阪市)と共同で「光ファイバーを用いたPC張力計測システム」を開発しました。
このシステムを使うと、PCケーブルの張力分布が
ナ、ナ、ナ、ナント、
完成後も計測できる
のです。
光ファイバーの内部に入った光は、ファイバー内を伝わりながらいろいろな方向に散乱します。この散乱光の波長は光ファイパーのひずみによって変化します。
つまり光ファイバーの散乱光を分析すれば、ひずみが起こっている場所と大きさを把握できるという便利な性質があるのです。
そこで、鹿島らはPCケーブルのより線のすき間に光ファイバーを沿わせた「光ファイバー組み込みPCケーブル」を開発し、光ファイバーとPCケーブルが同じようにひずむようにしたのです。
光ファイパーは構造物が完成した後も残るため、維持管理段階でもPC張力の計測ができるというわけです。PCケーブルの張力が命の構造物にとって、画期的な技術ですね。
この光ファイバー組み込み式PCケーブルは、冒頭に紹介した福島県伊達市内で施工された国道115号月舘高架橋上部工工事(延長:462m)で使われました。
PCケーブルに張力を導入した後、計測したところ
ケーブル全長の張力分布
が見事に判明しました。
鹿島は今後この技術を法面補強などに使うグラウンドアンカーへの応用も検討して、開発を進めていくそうです。
構造物内部の応力分布までをデータ化し、ネットで共有できるようになると、維持管理のIoT(物のインターネット)化が、進んでいきそうですね。