管理人のイエイリです。
米国を本拠とするベントレー・システムズ(Bentley Systems)は、海外のインフラ業界ではオートデスクに勝るとも劣らない強力な3Dソフトベンダーとして名をはせています。
同社は毎年、「ザ・イヤー・イン・インフラストラクチャー(The Year in Infrastructure)」という、世界的なユーザーイベントを開いていますが、今年も10月31日から英国・ロンドンで始まりました。
このイベントは、同社の3Dソリューションを駆使した世界のBIM、“i-Con”プロジェクトが大集結し、道路や鉄道、建築などの各分野の最優秀作を選んで表彰する「BE
Inspired」というアワードの授賞式も開催されます。
世界的な視点でインフラを見ると、意外なことが分かってきます。例えば、交通インフラで今、一番、積極的な投資が進んでいるのは、道路ではなく、
ナ、ナ、ナ、ナント、
鉄道がダントツ
なのです。
鉄道網の整備というと、日本では建設が一段落した感もありますが、世界では中国やインドなど発展中の国から、欧米などの先進国までが、高速鉄道やライトレールなどの整備に積極的に投資しています。
その設計・施工にはもちろん、BIMやi-Con的な手法が大いに活用されているのです。Be Inspiredアワードでも、鉄道分野は大いに注目されています。
また、実際の地形や構造物、街並みなどをドローンや3Dレーザースキャナーを駆使して3Dモデル化し、設計や維持管理を行う「リアリティー・モデリング」も、今回のイベントで要注目のトピックとなっています。
今回のアワードでは、リアリティー・モデリング部門に早稲田大学と大林組ペアによる、BIMモデルと点群データを使った工事進ちょく管理システムが決勝に残っています。
ドローンによる空撮写真から3Dモデルを自動作成する同社の「ContextCapture」というソフトは、3Dレーザースキャナーで計測した点群データも併用できるようになりました。
鉄道施設などは、レールの正確な位置を3Dレーザースキャナーの点群データをもとにモデル化し、周囲の建物や地形はドローンの空撮写真でモデル化することで、正確さと周囲の建物との位置関係などを反映した3Dモデルが作れます。
BIMなどの3Dソフトでインフラをモデル化するというと、ライバルのオートデスクとどう差別化しているのかが気になります。
そこで、「オートデスクに対して、ベントレーの強みとは何か」という質問を、ベントレー幹部にぶつけてみたところ、返ってきた答えは
ライフサイクル・マネジメント
までをしっかりカバーしていることだ、というものでした。
ベントレー・システムズは最近、道路や鉄道などの分野でデータ交換性が優れた「CONNECTシリーズ」という3Dソフトを続々と発表しており、完成後の運用・維持管理を行う「AssetWise」という製品も「CONNECT」版が投入されました。
つまり、3Dで企画設計から基本設計、詳細設計、施工、そして運用・維持管理まで行える一連の製品群が完成したわけです。
イベントの会期中、他の大手企業と連携して新たな発表も行われるようですので、ご期待ください。