道路診断を本格展開!富士通グループが東芝、川崎地質らと続々提携
2016年11月30日

管理人のイエイリです。

道路の診断業務には、今、IT(情報技術)が大規模に導入され、省力化が進んでいきそうです。大手IT企業も、続々、この分野に参入しつつあります。

富士通は2015年7月、道路の路線管理や補修計画の支援サービスなどを提供する100%子会社、富士通交通・道路データサービス(以下、FTRD)を設立しました。

11月28日、FTRDのウェブサイトには道路舗装の健全性診断事業に関する3件ものプレスリリースが発表されました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

東芝、川崎地質、インクリメントP

 

 

の3社と提携したという3本のニュースなのです。

 

11月28日付けで道路舗装の健全性診断事業に関して、3社との提携を発表した富士通交通・道路データサービスのウェブサイト(以下の資料:富士通交通・道路データサービス)
11月28日付けで道路舗装の健全性診断事業に関して、3社との提携を発表した富士通交通・道路データサービスのウェブサイト(以下の資料:富士通交通・道路データサービス)

まず、東芝との提携は「道路舗装損傷評価を効率化するサービスを共同展開することで合意した」というものです。

FTRDは、スマートフォンをクルマに積んで画像や加速度データをGPSによる位置情報とともに収集し、舗装の平たん性を自動解析する技術を「道路パトロール支援サービス」を既に展開しています。

これに東芝の画像処理技術による「舗装面のひび割れ自動解析」技術を融合させた新サービスを2017年度上期中に提供開始するというものです。

画像診断により舗装のひび割れを解析する技術。左写真の赤線部分がひび割れ

画像診断により舗装のひび割れを解析する技術。左写真の赤線部分がひび割れ

東芝とFTRDの技術を融合することにより、舗装面の平たん性とひび割れ状況を一元的に提供する新サービスのイメージ

東芝とFTRDの技術を融合することにより、舗装面の平たん性とひび割れ状況を一元的に提供する新サービスのイメージ

次に、川崎地質との提携は、川崎地質が開発した国産の地中レーダーを用いた地下の空洞調査技術と、FTRDの「道路パトロール支援サービス」を共同展開することで合意したというものです。

川崎地質は2016年6月から、「チャープレーダ」という地中探査装置を利用した路面下空洞探査サービスを提供しています。

地下3m程度の空洞を探知でき、高い分解能力で地中深くまで信号を伝えることができる純国産装置です。

FTRDは川崎地質の地中レーダーによる計測結果を、「道路パトロール支援サービス」の上に載せて一元化し、地下の空洞状況を可視化する新サービスを、2017年度上期中に提供を開始する予定です。

川崎地質の地中レーダー(左)とFTRDの「道路パトロール支援サービス」

川崎地質の地中レーダー(左)とFTRDの「道路パトロール支援サービス」

川崎地質が提供する空洞調査結果の可視化例

川崎地質が提供する空洞調査結果の可視化例

道路パトロール支援サービス上で一元表示された空洞情報

道路パトロール支援サービス上で一元表示された空洞情報

最後のインクリメントPとの提携ですが、舗装劣化状況の把握技術を

 

タイで実証実験

 

することに決定したというものです。

インクリメントPは、東南アジア諸国連合(ASEAN) 地域におけるデジタル地図データの整備拠点となる INCREMENT P ASIA Co.Ltd.を2015年1月にタイ王国バンコク市に設立しました。

以来、デジタル地図整備を進め、地図・位置情報サービスを提供しています。

今回の実証実験では、インクリメントPが保有する調査車両にFTRDの「道路パトロール支援サービス」を搭載して、路面の状態や経年劣化の把握を行います。

実証実験のイメージ

実証実験のイメージ

道路状態の評価結果は、インクリメントPの地図情報プラットフォームを活用して可視化するほか、様々な情報コンテンツと連携させて、道路アセットマネジメント分野における活用可能性を探ります。

そして、将来的には新たな道路関連情報サービスの実現や本情報を活用した地図情報プラットフォームの構築を検討していくとのことです。

タイの地図上に舗装の平たん東南アジア諸国連合(ASEAN) 性を表示したイメージ

タイの地図上に舗装の平たん東南アジア諸国連合(ASEAN) 性を表示したイメージ

これらの提携は、国土交通省が事務局を務める「インフラメンテナンス国民会議」のピッチイベントを契機とした技術連携が結実した成果です。

舗装の健全性診断の分野は、技術的にもビジネス的にも急速に動いているようですね。FTRDのようなサービスに連携するか、それとも独自で新ビジネスを展開するか、各社の経営戦略が問われています。

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