管理人のイエイリです。
鹿島・竹中土木・三井住友建設のJVが大分市内で施工中のロックフィルダム、大分川ダムでは堤体の中央で水を食い止める「コア」部分の盛り立て作業が進んでいます。
コア材となる土を55t級の巨大ダンプトラックで現場に運び込み、所定の場所に荷降ろしします。ダンプが現場を立ち去ると、今度はブルドーザーがコアとなる範囲に一定の厚さで敷きならしていきます。
ロックフィルダムの工事現場では、よく見かける風景ですが、この現場では従来の現場ではありえないことが起こっていました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
重機の運転席に人がいない
のです。
この現場では、鹿島が建設機械の自動化技術を使って2015年に開発した次世代の建設生産システム「A4CSEL(クワッドアクセル)」が導入されています。
巨大ダンプトラック(コマツ製)にはGPS機器や制御用パソコン、自動化機器などが搭載され、あらかじめ指示された位置まで土を運び、ダンプアップによる荷降ろし作業を自動的に行うことができます。
ダンプは荷降ろしを終えて走りだすとき、退出信号を発信し、待機していたブルドーザーがこの信号を受信すると自動的にまき出しと土の成形作業を行います。この作業を繰り返すのです。
その後、複数の振動ローラーによって土を締め固めていきますが、この重機もよく見ると人が乗っていません。ダムの堤体には計器なども埋設されているため、転圧範囲は単純な矩形ではなく複雑な形をしています。
今回、鹿島は新たな手法を開発したため、このような変形形状にも対応して、複数の振動ローラーが衝突することなく、同時並行で転圧作業を行うことができます。
では、これらの重機はどのようにコントロールされているのかというと、現場の技術者が手にした
タブレット端末
から、指示が出されているのです。
タブレットからの指示を受けると、それぞれの重機は自動的、自律的に運転や施工を行ってくれます。
鹿島のウェブサイトでは、このシステムを使った工事の様子が動画で公開されています。
建設業界では熟練労働者の減少や作業員不足への対応が大きな課題になっていますが、こうした自動化システムができると将来は“無人現場”によって工事を行うことも可能になりそうですね。一人あたりの労働生産性もぐっと向上しそうです。