JR東海が画期的手法!富士川橋梁から3Dスキャナーをつり下げて洗掘調査
2017年5月30日

管理人のイエイリです。

東海道新幹線の新富士駅~静岡駅間にかかかる富士川橋梁は、川が急流のため、台風などで増水すると橋脚周りの地盤が掘られる「洗掘」が起こり、橋脚が傾斜するなどの被害が発生する恐れがあります。

そこで東海旅客鉄道(JR東海)橋脚の周りには、洗掘防止用の「根固めブロック」約4万個を設置しています。

そして増水後には、橋脚周辺や下流側先端部のブロックが、沈下や移動をしていないかを、ヘリコプターによる航空測量や河川内での現地踏査で地道に確認してきました。

増水後の根固めブロックの調査。ヘリコプターと河川内の現地踏査で根固めブロックの沈下や移動を調べる(以下の写真、資料:JR東海)

増水後の根固めブロックの調査。ヘリコプターと河川内の現地踏査で根固めブロックの沈下や移動を調べる(以下の写真、資料:JR東海)

しかし、実機のヘリコプターを飛ばすと1回当たり約300万円もかかり、河川内に入って作業するという危険性もあります。

そこでJR東海の小牧研究施設では、この作業を安全かつ効率的に行えるようにするため、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

3Dレーザースキャナー

 

を橋桁の下につり下げ、根固めブロックすべての位置計測できる装置を開発したのです。(JR東海のプレスリリース

3Dレーザースキャナーを使った根固めブロック計測措置の構成

3Dレーザースキャナーを使った根固めブロック計測措置の構成

 

橋脚から3Dスキャナーをつり下ろして計測するイメージ

橋脚から3Dスキャナーをつり下ろして計測するイメージ

 

計測方法は、橋梁からつ吊り下げる「計測治具」に3Dスキャナーを取り付け、橋梁の点検用通路の手すりからぶら下げます。

そして、レーザーで橋脚間にある根固めブロックの位置を点群データとして計測し、次の径間に移動し、計測する、ということを繰り返します。

計測した点群データを事務所に持ち帰り、新開発の専用ソフトで分析すると、誰でも簡単にブロックの沈下や移動が分かります。

計測した点群データのイメージ

計測した点群データのイメージ

専用ソフトによる分析。移動前後の状態を色違いで表示し、移動したものは一目で判断できる

専用ソフトによる分析。移動前後の状態を色違いで表示し、移動したものは一目で判断できる

これまではヘリコプターの費用や運行調整が必要で、計測から結果出力まで約1週間かかっていました。それが、この装置が開発されたおかげで、増水後、水位が低下したらすぐに計測し、1日で結果を得られるようになりました。

そして計測精度は、従来の方法だと±10cmだったのが、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

±2mmに改善

 

され、わずかな移動も見逃さないようになりました。

根固めブロックの計測範囲も以前は橋脚周辺と、下流部先端部の約250個だけだったのが、4万個すべてを“全数検査”できるようになりました。

根固めブロックの計測範囲は「全数検査」に拡大した

根固めブロックの計測範囲は「全数検査」に拡大した

JR東海によると、鉄道橋梁の根固めブロックの位置計測に3Dレーザースキャナーを用いるのは、日本初とのことです。2017年9月から乗務での使用を予定しています。

この装置は、2017年5月に国際航業、ジェイアール東海コンサルタンツと共同で特許出願済みです。

複雑な形や配置をしている構造物も、点群データで「IoT(モノのインターネット)」的に管理すると効率的ですね。

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