管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)が施工段階で普及するとともに、施工図もBIMで作りたいというニーズも増えてきました。
設計者の意図を、ものづくり用に描き直した施工図は、施工性や納まり、設備と躯体の干渉などに配慮して細部にこだわって表現する必要があるので、作成には施工者のノウハウが必要となります。
この施工図を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ARCHICADで描く
方法を解説した画期的な本がこのほど発売されました。
その名も「ARCHICADでつくるBIM施工図入門」(鹿島出版会、3700円+税)というもので、執筆は鈴木裕二氏(アド設計代表)と池田寛氏(鹿島クレス 西日本支社 BIM事業部次長)、監修は安井好広氏(鹿島 BIM推進グループ長)、BIM界の豪華メンバーのノウハウが惜しみなく注ぎ込まれています。
「そもそも、施工図とは何か」という問いかけから始まるこの本では、代表的な施工図として、コンクリート躯体図、平面詳細図、天井伏図をARCHICADで描くための流れがわかりやすく解説されています。
従来の手書き図面や2次元CAD図面に比べると、図面としての書式は簡略化されている面もありますが、図面の一角に3Dパースを配置するなど、わかりやすい表現になっていることが見て取れます。
本の内容には、テンプレートや部品の準備、施工図を描くためのモデリング、2Dでの追記による図面化、そしてBIMの強みである3Dを生かした次世代施工図までが含まれています。
BIMによる設計では「梁」、「壁」などの部品を配置しながら進めていくのが一般的ですが、施工図となるとそう単純にはいかない部分も出てきます。
例えば、段差のある床スラブやコンクリートの増し打ち、折り上げ天井に組み込まれた間接照明などです。
こうした特殊な作図は、つまずいてしまいがちですが、スラブ部材の合体や「断面形状マネージャ」機能の活用、「押し出し」などのテクニックを使うことで、華麗にクリアするノウハウを紹介しています。
また、BIMの強みである3Dを生かして、製造業で使われているテクニカルイラストのような次世代施工図も提案されています。
平面図と立面図、断面図の要素が1つの図で表され、ポイントとなる部分をカットモデルで表現したわかりやすい図です。手作業ではとても描けない図も、BIMならすぐに作れてしまうのがいいところですね。
このほか、BIMモデルを使った現場での打ち合わせや、図面承認の流れなど、施工段階ならではのBIM活用方法についてのノウハウも、随所にちりばめられています。
そして、注目すべきは付属CD-ROMの中身です。
ナント、
鹿島仕様のテンプレート
や、施工図モデル作成用のプラグインなど、鹿島のBIMノウハウが込められた貴重な資料が収められているのです。
これらのファイルは、最新版の「ARCHICAD20」でしか動作しません。
ARCHICADのユーザーでない人も、グラフィソフトジャパンのウェブサイトにある「ダウンロードセンター」からすべての機能を30日間使える体験版をダウンロードして使えますので、BIMによる施工図作成にチャレンジとしてみてはいかがでしょうか。