管理人のイエイリです。
CADやクラウドなどのITが普及した今日このごろですが、歴史の長い企業は、いまだに古い紙の図面や資料を倉庫などに保管している例がありそうですね。
建物の賃貸事業を展開する大東建託にも、1974年の創業以来、管理建物の設計図書が紙の資料として大量に保管されていました。
せっかくの貴重な資料も、紙のままだと経年劣化で読めなくなったり、災害時に消失したり、保管スペースがかかったりします。
そこで同社は、2015年秋から思い切った設計図書の電子化プロジェクトに着手しました。全国の支社や外部倉庫に分散保管されていた紙の資料を1カ所に集め、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ベトナムに海上輸送
して、一気に電子化してしまったのです。
ベトナムでの設計図書の保管はクラウン ワールドワイドグループの倉庫を使い、スキャンや電子化の作業は、CADネットワークサービスのベトナムCADセンターで行いました。
確実に高品位のデータ化を行うため、大東建託は事前に現地を訪問し、意匠、構造、設備やカラーのチェックを行える体制を整え、スタッフ教育も実施しました。
2015年12月に設計図書のベトナムへの輸送を開始し、16年2月にベトナムで電子化を開始、同10月には早くも図面検索システムでの電子データの開示を始めました。
そして17年7月には、ついにベトナムでの電子化が完了。10月にはすべての設計図書を図面検索システムに登録完了する予定です。
この電子化プロジェクトによって、災害時にも設計図書の消失や紛失のリスクが減ったほか、保管スペースやコストの削減、図面閲覧のスピードアップなど、大幅な業務の効率化が実現できそうです。
また、人件費の安いベトナムで電子化したことで、電子化コストも大幅に削減できました。
同社では今後、電子化した設計図書データに敷地情報や修繕履歴、資材などの建物情報などをプラスし、
ビッグデータとして集約
し、本社で一括管理しながら修繕計画の立案や施工計画の自動作成など、さらなる効率化やサービス向上を行っていく予定です。
1500万枚の設計図書を電子化するだけでも大変ですが、さらにビッグデータ化して高度な利用を図っていく戦略も素晴らしいですね。
すでに、文書の電子化を終えている会社も、単なるデータ共有や保管スペースの削減にとどまらず、さらに高度な活用ができないか、検討してみてはいかがでしょうか。
なお、今回、電子化が終わった設計図書は日本国内やベトナムでリサイクルし、リサイクル紙や段ボール原紙、トイレットペーパーなどに再生されるそうです。