管理人のイエイリです。
建物や設備などを3Dで設計するBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトは、従来の2次元CADに比べると図面の作成、修正が早いと言われるものの、各部材をマウスで一つ一つ、配置していく手作業がまだまだ多いのが実情です。
そこで米国マサチューセッツ州メドフィールドに本拠を置くエンジニアリング・インテント社(Engineering Intent Inc.)は、BIMモデルの作成効率を高められる設計ツール「Knowledge Bridge」(以下、kBridge)を開発し、リンクビジョンアソシエイツ(本社:東京都中央区)を通じて日本で発売することになりました。
その機能は、BIMモデルのいろいろな部分を自動設計することです。
例えば、空調機の出口と部屋の天井にある吹き出し口のモデルをクリックすると、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ダクトがニョキニョキ
と自動発生して、圧力損失が最少になるルートを自動的に結んでくれるのです。
途中で梁がある場合には、設定条件によって梁を回避したり、貫通したりする処理も自動的に行います。貫通する場合は、スリーブも自動的に付けてくれる親切さです。
ダクトや配管の自動設計のほか、配筋設計や設備レイアウト、仮設、建築可能な3D空間など、ルールや手順を設定すれば様々な部分の自動設計を行うことができます。
kBridgeはAutoCADの「DWG」ファイルを読み書きできるほか、BIMソフト「Revit」のデータを読み書きできるプラグインが用意されています。
というと、BIMモデルの干渉部分などをルールに従ってチェックし、問題箇所を指摘してくれるソフト「Solibri Model Checker」に似たソフトなのかなと思ってしまいます。
kBridgeは問題箇所を避けるだけでなく、さらに自動的にモデリングするためのルールや手順も内蔵している点がポイントです。
また、設定したルールや手順は将来、クラウドシステム「kBridge App Store」を通じて、企業内や業界全体で
簡単に共有できる
ようになるそうです。
3Dデザインソフト「Rhinoceros」では、パラメトリックに操作する「Grasshopper」のスクリプトがオープンソースで公開されていますが、同様な仕組みができればBIMの自動設計も急速に普及していきそうです。
建物の意匠、構造、設備の部分ごとに自動設計用のルールができてくると、将来的にはこれらをさらに統合して、建物の基本スペックやデザインテイストなどを入力すると、建物全体のBIMモデルを丸ごと自動設計することも視野に入ってきそうですね。