100近い問題をBIMで解決!NTTデータの大規模物件で初のIPDが実現
2018年5月23日

管理人のイエイリです。

プロジェクト関係者が協力しながら、最適な建物の建設を行う「IPD(インテグレーテッド・プロジェクト・デリバリー)」は、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を使った理想的な方法と言われていますが、「言うは易し、行うは難し」でなかなか普及していないのが実情です。

ところが、NTTデータが施主となって建設した「三鷹データセンターEAST」は、地上4階、延べ床面積約3万7000m2の大規模建物でありながら、施主のほか設計会社や建設会社、専門工事会社などの関係者がBIMを使って初期段階から協業し、この規模のプロジェクトでは

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

国内初のIPD導入

 

を実現したのです。(新菱冷熱工業のプレスリリースはこちら

実際の現場(左)とBIMモデル(右)(以下の資料、写真:新菱冷熱工業)

実際の現場(左)とBIMモデル(右)(以下の資料、写真:新菱冷熱工業)

着工と同時に結成された「BIM分科会」の概要

着工と同時に結成された「BIM分科会」の概要

BIM分科会での検討の様子

BIM分科会での検討の様子

空調・衛生設備工事を担当する新菱冷熱工業は、建築工事を担当するフジタとともに、BIMマネージャーの一員として初期段階からBIM活用をけん引しました。

このプロジェクトでは着工と同時に施主・設計・建築・設備のBIM担当者が参加する「BIM分科会」という組織を結成し、BIMに関する意思決定機関となったほか、BIM運用の方針やルール、ガイドラインの策定などを行いました。

そしてIPDらしいのは、工事着手前に策定した「BIM実施計画書」に基づき、実物の建物の前にBIMモデルを施主に引き渡す「仮想引き渡し」(VHO:バーチャル・ハンド・オーバー)を工事中に2回も行ったことです。

1回目のVHOは、機器の配置や納まりを調整して空間的な整合性を確保した「納まり調整BIM」の完了時に行いました。

このBIMモデルを使って発注者の要件を満たしているかどうかを確認したところ、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

100項目近くの課題

 

が顕在化したのです。そして、これらの課題は施工前に一つひとつ、施工前に解決していきました。

また、2回目のVHOは、竣工後に施設の運営や保守業務が適正に行えるかを確認する「仮想竣工BIM」の完了時に実施しました。

このBIMモデルの属性を、施主のFM(維持管理)データベースに取り込んで使えるかを確認したところ、エラーや属性データの変更・見直しの必要性があることが事前に把握でき、竣工後のスムーズなFM業務の導入につなぐことができました。

仮想竣工BIMモデルによって発見された保守経路の問題点

仮想竣工BIMモデルによって発見された保守経路の問題点

BIMモデルの属性データをFMデータベースに読み込んで活用する流れ

BIMモデルの属性データをFMデータベースに読み込んで活用する流れ

BIMのメリットは、将来の完成形がリアルにわかることですが、「仮想引き渡し」というステップがあると、BIMモデルがこのまま完成していいのかどうかを、真剣にチェックする気持ちになりそうですね。

そしてバーチャルなBIMモデルの段階で、様々な失敗やミスをやり尽くした後で、リアルな建物を建てるととても使いやすく、維持管理も効率的に行えそうです。

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