杭の設計・施工管理をBIM化!竹中工務店が杭長、支持層を自動判定
2018年8月24日

管理人のイエイリです。

中部国際空港「セントレア」の人工島東側では、約8万9900m2の大規模な展示場建設工事が進んでいます。

この工事の設計・施工を担当する竹中工務店は、埋め立て地上で大規模な建物を支えるため、3000本以上の杭を打設することが必要でした。

「セントレア」の人工島内に建設中の大規模展示場(以下の資料:竹中工務店)

「セントレア」の人工島内に建設中の大規模展示場(以下の資料:竹中工務店)

打設された3000本以上の杭。支持層は傾斜しており、場所によって杭長が異なる

打設された3000本以上の杭。支持層は傾斜しており、場所によって杭長が異なる

ここで問題だったのは、杭を支える「支持層」が傾斜していることでした。場所ごとの支持層の深さを知る手がかりは、100本程度のボーリング調査しかなく、その間の支持層深さや杭の長さはボーリング調査の結果を直線補間して求めるしかありません。

そこで竹中工務店は、この面倒な作業を大幅に効率化する設計・施工管理システム「ANAGO(アナゴ:ANAlysis for Geologic Optimum)を開発し、現場に適用しました。

支持層の深さや必要な杭の長さを

ナ、ナ、ナ、ナント、

BIMモデルで可視化

するシステムなのです。

ANAGOによる杭長の決定と施工のプロセス。ボーリング調査や施工済みの杭でわかった支持層の深さを随時、利用して補間精度を高めていく

ANAGOによる杭長の決定と施工のプロセス。ボーリング調査や施工済みの杭でわかった支持層の深さを随時、利用して補間精度を高めていく

100程度のボーリング調査結果を補間するだけだとなだらかな傾斜だが、施工済みの杭データを活用することで、支持層の急激な落ち込みを発見した例

100程度のボーリング調査結果を補間するだけだとなだらかな傾斜だが、施工済みの杭データを活用することで、支持層の急激な落ち込みを発見した例

支持層のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルは、当初、ボーリング調査結果を補間しただけなので、なだらかな傾斜になっています。

このBIMモデルに、杭を施工した結果、わかった支持層の深さを次々と入力し、それを元に補間し直して、未施工の杭の支持層深さを自動的に判定します。

BIMモデルを使って自動的に求められた杭のBIMモデル。施工中のデータを元に、支持層深さや杭長はどんどん精密化されていく

BIMモデルを使って自動的に求められた杭のBIMモデル。施工中のデータを元に、支持層深さや杭長はどんどん精密化されていく

このシステムを使ったことで、設計段階の支持層分布図の作成と杭長の検討作業が自動化され、設計作業時間が80%も削減されました。

また、施工段階では、施工管理者1人当たりの杭打ち機が

2.8台から4.0台

へと増え、大幅な省人化が実現できました。

竹中工務店は今後、傾斜が大きい支持層での杭工事に「ANAGO」を活用することで、大幅な効率化を図っていくそうです。

基礎工事のBIM活用もだんだん進んできたようですね。

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