管理人のイエイリです。
特に暑かったこの夏、学校行事で幼い子供が熱中症で死亡したというニュースが注目を集めました。
気象庁が発表する気温は、芝生の上1.5mの位置で、温度計が直射日光に当たらないようにしたうえ、電動ファンで外気を通風させながら計測しています(参考:気象庁のウェブサイト)。
一方、公園で遊んだり、アスファルトの道路を歩いたりする子供たちには、気温だけでなく直射日光や地面からの放射熱も作用します。身長も低いので、地面からの照り返しによる放射熱は大人よりも強烈に作用します。
こうした中、保育園における熱中症対策に乗り出したのが、福岡市城南区にある社会福祉法人きりん会きりん保育園、西日本電信電話(NTT西日本)、NTTフィールドテクノ、フジクラのグループです。
きりん保育園の屋内外6カ所に暑さ指数(WBGT、湿球黒球温度)を計測するセンサーを配置し、
ナ、ナ、ナ、ナント、
子供目線の暑さ指数
を計測し、見える化することで熱中症対策に役立てるトライアルを行うのです。(フジクラのプレスリリースはこちら)
●センサーの設置場所(予定)
計測地の地面素材 | 計測の高さ | |
センサー1 | 土(屋外) | 180cm |
センサー2 | 土(屋外) | 40cm |
センサー3 | アスファルト(屋外) | 40cm |
センサー4 | アスファルト(屋外) | 180cm |
センサー5 | 床材(屋内・冷房あり) | – |
センサー6 | 床材(屋内・冷房なし) | – |
暑さ指数とは、気温と同じ「℃」で表示されますが、(1)気温のほか(2)湿度や、(3)直射日光や地面からの反射などの放射熱も取り入れた熱中症予防用の指標です。
この暑さ指数を計測するセンサーを、地面の素材や照り返し、風通し、高さなど環境が異なる場所に設置して、暑さ指数の変化を比較・分析します。
屋外では地上40cmや、屋内では床面といった子供の目線にあった高さで暑さ指数を計測しているのがポイントですね。
これらの暑さ指数データは、IoT(モノのインターネット)用のネットワーク(Fukuoka City LoRaWAN)やWi-Fiによって集約・見える化し、保育室内のタブレットで確認できます。
熱中症対策を考慮しながら、散歩や外遊びを行うかどうかの決定は、これまで保育士の経験に頼っていましたが、暑さ指数という客観的なデータで判断できるようになりました。
また、打ち水などによって熱中症の危険がどれだけ緩和されるのかも、検証することができます。
暑さ指数センサーは、放射熱の影響を計測するため、黒くて丸い球が付いているので、子供たちから見ると興味津々です。下手に設置すると、すぐに壊されてしまうことも考えられます。
そこで園児の手が届く高さに設置するセンサーの施工には、
保護材や設置場所
のほか、保育園の知見を加えたノウハウを蓄積し、工夫していくそうです。
今回のトライアルは2018年8月21日~2018年9月30日の期間、行われる予定です。
今後、保育園や小学校などでは、小さな子供たちの目線に立った熱中症対策がますます求められていくでしょう。建築設計事務所や建設会社も、こうしたソリューションを持っていると、設計・施工の受注に強力な武器になるかもしれませんね。