管理人のイエイリです。
札幌市に本拠を置くベンチャー企業、エコモットは、社会インフラを幅広く対象とした“IoT(モノのインターネット)”に強い企業として知られています。
例えば、駐車場の積雪状態をカメラで監視して、最適な時に遠隔でオンオフする「ゆりもっと」を運営したり、洪水時に砂防ダムを遠隔監視する装置を設置したりと、IoT企業でありながら“泥くさい”分野を得意とする点が、大きな特徴となっています。
2019年2月6日、同社は東京・新宿で事業説明会を開催し、経営企画部マーケティンググループマネージャーの國塚篤郎氏が「多数の実践事例から考える利用者目線のIoT/AI活用とは」というテーマで講演しました。
國塚氏の講演には、工事現場や道路といった社会インフラ分野から、家庭向けの灯油配達、さらにはエゾシカの“遠隔猟”に至るまで、様々なIoT活用事例が含まれており、まさに無限とも言えるビジネスとの連携が可能にいう印象を受けました。
そして、明らかになったのは、同社の事業がIoTによる見える化や遠隔制御を超えて、
ナ、ナ、ナ、ナント、
AIによる自動制御
の方向に向かっていることだったのです。
その一例は、AI(人工知能)を利用した現場のピンポイント風速予想システムです。クレーンや足場などを使用する現場の最大関心事は、現在の風向・風速が、今後、どう変わっていくかということです。
そこで局所的な気象予報データと、現在の風速を同社開発のAIシステムで処理することにより、現場の風速をピンポイントで予測するというものです。
このほか、監視カメラにもAIが実装されつつあります。「エッジAIカメラ MRM-900」というもので、NVIDIAが開発した小型で強力なグラフィックボード(GPU)を搭載し、カメラ内で画像から人やクルマなどの様々なデータを抽出できるものです。
膨大な映像データをまずはカメラ内で処理し、取り出した少量のデータだけをクラウドサーバーに送ればいいので、アプリや警報機器とリアルタイムに連携することができます。
その実力には驚かされました。リアルタイムの動画上で、安全帯の装着異常や道路の異常、駐車場に止まっているクルマや駅構内にいる多くの人や物などを瞬時に見分けることができるからです。
もはや、監視カメラのモニターを人間がじっとにらんで異常がないかを発見するというのは、過去の話になりつつあります。
さらには、AIによる判断で、インフラの自動制御が実現するのも時間の問題になってきました。
例えば、冒頭に紹介した「ゆりもっと」は、駐車場の積雪状況や天候など現地で収集した情報を、過去の運用データと比べて
AIによる自動制御
を行うことを目指しています。実現目標は2020年とのことです。
インフラの運用や維持管理の業務は、泥くさく、アナログなイメージでしたが、今やAIで大幅な自動化も進んでいます。
エコモットの技術は社会インフラにとどまらず、製造業や観光業、介護福祉など無限の応用分野がありそうですね。
2007年に設立された同社は、2017年6月に札幌証券取引所のアンビシャス市場に上場し、さらに2018年6月には東京証券取引所のマザース市場にも上場しました。地方発のベンチャーは、全国の投資家からも注目を集めつつあるようです。