管理人のイエイリです。
最近、大企業版のi-Con成功事例として世の中に出始めたのが、通称“PRISMプロジェクト”と言われる延べ33件の工事です。
正式には「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」というものですが、内閣府の「官民研究開発投資拡大プログラム」(略称:PRISM)の資金を活用しているため、こう呼ばれています。
その特徴は、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、ロボット、クラウドコンピューティングなどを得意とするIT関連企業と、国交省の工事を受注している建設会社が。
コンソーシアムを結成
して、国交省に技術提案を行うことです。
技術提案の内容は、(1)データを活用して施工の労働生産性の向上を図る技術と、(2)データを活用して品質管理の高度化等を図る技術の2種類が設定され、採択されたコンソーシアム(企業連合)には1件当たり5000万円の経費が支給される仕組みです。
このうち、(1)に採択された一つが、第1回「i-Construction大賞」で最優秀賞に輝いたカナツ技建工業(本社:島根県松江市)のほか、福井コンピュータ、ライカジオシステムズ、山陽測器からなるコンソーシアムです。
同コンソーシアムでは山陰道の「静間仁摩道路大国高架橋外下部工事」で、コンクリート橋台や橋脚の出来形管理に、レーザースキャナー機能を持つトータルステーションを活用することで、従来よりも効率的かつ安全に作業を行うことができました。(詳しくは、カナツ技建工業のウェブサイトで)
こうした成功例が惜しみなく発表されたのは、“PRISMプロジェクト”では、ICTを活用した結果を、
広報することを義務づけ
ているからです。
そのため、今後、続々とあっと驚くようなi-Conの成功例が発表されることが予想されます。
「建設ITワールド」でも既にIHIインフラ建設らによる湖陵多岐道路 多岐インター橋におけるAR(拡張現実)などによる施工管理の例を公開しており、今後は日本国土開発らによる湖陵多岐道路の例や、日本電気・鹿島建設による小石原ダムの例を掲載していく予定です。
プロジェクトの成功事例が広く公開されることは、同業他社にとって参考になるだけでなく、ICT化に取り組もうという動機付けにも効果的ですね。国土交通省は発注者として、i-Con大賞やPRISMプロジェクトの成功例を広く公開しているのは、すばらしいことだと思います。
一方、民間のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)などは、プロジェクトは受発注者間の「守秘義務」が壁となって、好事例があってもなかなか表に出てこないことが多々あります。差し支えない範囲で、成功例がどんどん出てくるようになれば、BIMもさらに発展していくのではないでしょうか。