“埋蔵資料”からデータドリブンへ! 「国土交通省DXビジョン」が推進するEBPMとは?
2025年6月23日

管理人のイエイリです。

国土交通省には、年々、膨大な情報や資料が集まってきています。これらは知的情報の“宝の山”とも言えるものですが、これまでは紙やCD-ROMなどの媒体として書庫に眠っていたり、ウェブサイトで公開されている情報もPDF形式だったりして、情報分析や加工などが行いにくいものでした。

書庫に眠っている貴重な情報のイメージ(以下の写真、資料:国土交通省)

書庫に眠っている貴重な情報のイメージ(以下の写真、資料:国土交通省)

国土交通省は、これからはデータというエビデンス(根拠)に基づいて政策立案を行う「EBPM(Evidence-Based Policy Making)」や、行政サービスのデジタル化、そして外部と連携して新たな価値創造を行う「オープンイノベーション」を加速していく方針です。

国土交通省の各業務におけるデータ活用の取り組み状況

国土交通省の各業務におけるデータ活用の取り組み状況

こうしたデータドリブンな施策を実現するために、国土交通省は2025年6月13日に、

ナ、ナ、ナ、ナント、

「国土交通省DXビジョン」

という画期的な方針を発表したのです。(国土交通省のプレスリリースはこちら

国土交通省DXビジョンの概念図

国土交通省DXビジョンの概念図

DXビジョンが目指すことはまず、これまで十分に活用されていなかった資料や情報を、コンピューターで解析や分析、加工ができるようにオープンデータ化することです。

そして、これらのデータなどをデジタル公共財として横断的に活用し、効果の高い政策立案や課題解決を行っていくことです。

文書などの資料を構造化してオープンデータ化し、分析したうえで、様々な施策の立案に活用する流れ

文書などの資料を構造化してオープンデータ化し、分析したうえで、様々な施策の立案に活用する流れ

オープンデータの活用によって実現できる施策や効果の例

オープンデータの活用によって実現できる施策や効果の例

オープンデータの開発と、EBPMによる政策立案を並行して行うイメージ

オープンデータの開発と、EBPMによる政策立案を並行して行うイメージ

オープンデータの活用は、様々な分野や目的で可能ですが、一例としてドローン(無人機)の安全対策の例を見てみましょう。

ドローンで事故などが発生したとき、パイロットには「ドローン情報基盤システム2.0」(DIPS2.0)というウェブサイトから報告します。

報告された事故情報は、国交省航空局のウェブサイトの中ほどにある「無人航空機に係る事故等報告一覧」というリンクからPDF形式で公開されています。

事故や重大インシデントの内容が、日時や場所から機体の種類、機体の損傷状況、再発防止策など、詳しく公開されています。

ドローンの事故などを報告する「ドローン情報基盤システム2.0」のウェブサイト

ドローンの事故などを報告する「ドローン情報基盤システム2.0」のウェブサイト

報告された事故情報は、国交省航空局のウェブサイトからのリンクで見られる

報告された事故情報は、国交省航空局のウェブサイトからのリンクで見られる

ただ、これらの事故データは報告と閲覧が別々のウェブサイトに分かれており、公開された情報は一覧表形式のPDFデータなので、過去の事故情報を踏まえたドローンの事故防止対策にはすぐには生かせません。

そこでDIPS2.0と、国土交通省の分野横断型のDX推進プロジェクトである

「Project LINKS」を連携

させることで、ドローン安全対策についての政策立案をEBPM化することが期待されます。

ドローンの事故データを分析し、地域別に分析・表示した例

ドローンの事故データを分析し、地域別に分析・表示した例

飛行方法による事故件数を分析した例

飛行方法による事故件数を分析した例

最近は文書や画像などを簡単に学習し、分析できる生成AIもありますので、こうしたデータベース化も以前に比べてずっと行いやすくなっていることでしょう。

個人的には、CALS/ECの時代に大量に納品された設計や工事の図面や工法などの情報をオープンデータ化すれば、設計や工事の計画立案の効率や品質がぐっとアップするのではと期待しています。

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