ゼンリンがドローンの安全飛行ルートを自動作成! 国際規格に準拠した世界初のサービスを開始
2024年12月5日

管理人のイエイリです。

2022年12月に、ドローンの(無人機)の有人地帯での目視外飛行が解禁され、これからはドローンの出発地点と到着地点を結ぶ経路を安全かつスピーディーに計画することが求められます。

しかし、ドローンを安全に飛行させるためには、地形や建物などの障害物のほか、飛行規制区域や雨・風などの気象条件もすべてクリアする必要があるため、各種の情報を収集しながら飛行ルートを計画するのに平均3日もかかっていました。

長野県伊那市での長距離ドローン配送サービスを行うドローン機体(以下の写真、資料:ゼンリン)

埼玉県秩父市の土砂崩落現場をまたいで定期配送を行ったドローンの飛行ルート

埼玉県秩父市の土砂崩落現場をまたいで定期配送を行ったドローンの飛行ルート

この作業を効率化するため、ゼンリン(本社:福岡県北九州市)は、ドローンが安全に飛行できる飛行経路を、

ナ、ナ、ナ、ナント、

自動作成するシステム

を開発し、2024年11月26日に提供を開始したのです。(ゼンリンのプレスリリースはこちら

ゼンリンは地図情報に、各種機能を連携できる「ZENRIN Maps API」という地図APIサービスを提供しています。

今回、同社はこのAPIに「ドローンルート検索機能」と「ドローンルート評価機能」を追加しました。

「ドローンルート検索機能」は、飛行経路の出発地点と到着地点を入力すると、経路周辺の道路や建物、水路などの情報と、ドローンが墜落したときの範囲を計算し、最も安全な飛行ルートを自動生成するものです。

一方、「ドローンルート評価機能」は、上記の検索機能を使わずに作成した飛行ルートの座標を入力すると、安全性を検証する機能です。

「ドローンルート検索機能」によって自動作成した飛行ルートのイメージ

「ドローンルート検索機能」によって自動作成した飛行ルートのイメージ

「ドローンルート検索機能」によって自動作成した飛行ルートのイメージ

「ドローンルート検索機能」によって自動作成した飛行ルートのイメージ

経路作成時の入力項目例
経路探索 始点•終点の指定 始点・終点の座標を入力。座標を地図上で選択。
経由地の指定 経由地の座標を入力or座標を地図上で選択。
飛行高度の指定 対地高度で飛行高度を入力。(m)
経路探索補助 対人工地物距離 人工地物と何m離れて飛行を行うかを指定する。
対自然地物距離 自然地物と何m離れて飛行を行うかを指定する。
優先•回避地物リスト 建物(飛行禁止施設•人口密集施設・ー般家屋)ヽ 交通(高速道路・ー般国道・都道府県道・その他•鉄道)ヽ 水系を選択し、選択された地物の上を優先的に飛行する
風速 飛行時の風速を入力。(m/s)
最高対地高度 最高対地高度を入力。(m)
飛行速度 飛行速度を入力。(m/s)
飛行許可•禁止エリアの指定 飛行許可エリアの指定 飛行許可エリアの任意の形状を描画して座標を指定。
飛行禁止エリアの指定 飛行禁止エリアの任意の形状を描画して座標を指定。

このドローンルート検索機能によって、担当者の経験と勘によってドローン飛行経路を作成するのに平均3日かかっていたのが、

10kmでわずか約30秒

と飛躍的にスピードアップされることになりました。

従来に比べてドローン飛行経路の作成作業は大幅にスピードアップされる

従来に比べてドローン飛行経路の作成作業は大幅にスピードアップされる

さらにスゴイのは、このサービスはドローン用地理空間情報に関する国際規格「ISO 23629-7 UAS traffic management (UTM) — Part 7: Data model for spatial
data
」に基づく世界初のAPIサービスであることです。

ドローン用地理空間情報の国際規格を構成する情報。(1)地図情報、(2)障害物情報、(3)仮想情報、(4)動的データの4階層で構成されている

ドローン用地理空間情報の国際規格を構成する情報。(1)地図情報、(2)障害物情報、(3)仮想情報、(4)動的データの4階層で構成されている

今後、建設業界やインフラメンテナンス業界などでも測量や点検、物資輸送などで、特定の場所から現場までのドローンルートを計画する場面が増えてくるでしょう。その作業を「オートメーション化」してくれるこのサービスは、生産性向上や働き方改革に大いに役立ちそうです。

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