管理人のイエイリです。
年々、顕著になりつつある少子高齢化による労働力不足は、工事現場での仕事の仕方にも大きな影響を与え始めています。
以前よりも少ない人数で工事を行うため、機械ができる仕事は機械に任せ、人間は人間しかできない作業に集中するという態勢を作っていく必要があります。
そこで前田建設工業は、高知工科大学、サット・システムズ(本社:高知市)とともに、建築工事現場用の資機材自動搬送システムを開発しました。
資材などを台車などに積んで、荷取り場所と荷置き場所を指示するだけで、
ナ、ナ、ナ、ナント、
自動的に無人搬送
してくれるのです。(前田建設工業のプレスリリースはこちら)
下層階の荷取り場で、資材を1トン平台車やキャスター付きメッシュパレットに積んでおくとAGV(Automatic Guided Vehicle)という自動走行車がやってきて、台車ごとエレベーターに積み込みます。
目的階に着くと、別のAGVがエレベーターにやってきて自動的に台車を荷取りし、荷置き場所まで安全に自動搬送します。
このとき、AGVとエレベーターはお互いに通信しながら完全に連携して動作します。人間が台車をエレベーターの前まで運んでから、ボタンを押すのよりスピーディーな搬送ができそうですね。
もちろん、安全性についてはよく考えられており、静止している障害物や動くものが周辺にあると、自動的に回避するほか、遠隔操作で緊急停止させることもできます。
そして、賢いのは資機材が雑然と置かれていても
自動認識で荷取り
できる機能や、荷置き場所の空きスペースを判断して所定の場所に荷置きする機能もあります。
現場内での搬送には、目印を置いておくだけでAGVが自分自身で判断してくれるので、面倒な設定作業はいりません。作業員が「同僚」のように感覚的に使える点がいいですね。
2019年4月には東京都内の建築現場で、この自動搬送システムを導入するほか、今後、長尺物や重量物の搬送も実現できるように改良していく予定です。
このシステムは、前田建設工業が開設したオープンイノベーション、ICI総合センター ICIラボ(茨城県取手市)で3者による共創事業として開発が進められてきました。
ロボットに任せられる現場の仕事が少しずつ増えていくと、そのうち現場ではロボットの方が人間よりも多くなるのかもしれませんね。