3階建てビルを建設!サウジの建設会社が世界最大級の3Dプリンターを導入
2019年3月18日

管理人のイエイリです。

コンクリート系の材料を層状に積み重ねて実物の建物を造形する「3Dコンクリートプリンター」の技術は、ますます完成レベルに近づいているようです。

例えば、デンマークに本拠を置くCOBOD社は、2017年に同社の「BODプリンター」を使って、欧州で初めて3Dプリンターで実物のオフィスを建設しました。ここで「BOD」とは「ビルディング・オン・デマンド(Building on Demand)」の略です。

COBOD社のBODプリンターを使って建設された欧州初のオフィス(以下の写真、資料:Courtesy of COBOD)

COBOD社のBODプリンターを使って建設された欧州初のオフィス(以下の写真、資料:Courtesy of COBOD)

BODプリンターによる建物の建設工程

この経験を生かして、同社はその後、モジュラーを自由に組み立てて好きな大きさに作れる第2世代の3Dプリンター「BOD2」を開発しました。

モジュラー型3Dプリンター「BOD2」を構成する部材

モジュラー型3Dプリンター「BOD2」を構成する部材

普通なら制御システムや材料の配合などを「マル秘」扱いにするのではと思いきや、これらの多くは

ナ、ナ、ナ、ナント、

オープンソース化

されており、ノウハウや技術を共有できるようになっているのです。

縦6.9m×横12.2m×高さ6.6mまでのものを造形できる「BOD2-353型」。価格は30万ユーロ(約3800万円)

縦6.9m×横12.2m×高さ6.6mまでのものを造形できる「BOD2-353型」。価格は30万ユーロ(約3800万円)

縦6.9m×横12.2m×高さ6.6mまでのものを造形できる「BOD2-353型」。価格は30万ユーロ(約3800万円)

縦6.9m×横12.2m×高さ6.6mまでのものを造形できる「BOD2-353型」。価格は30万ユーロ(約3800万円)

縦9.5m×横19.8m×高さ6.6mまでのものを造形できる「BOD2-483型」。価格は41万6000ユーロ(約5300万円)

縦9.5m×横19.8m×高さ6.6mまでのものを造形できる「BOD2-483型」。価格は41万6000ユーロ(約5300万円)

そして、3Dプリンターを構成する部品や機器も、完成度の高さをうかがわせています。

例えば、造形材料にはモルタルだけでなく、直径12mmまでの粗骨材を含んだコンクリートを使えます。材料を吹き出すノズルの上には材料を一時的にためておく「ホッパー」が付いており、窓や壁の端部などで材料の吹き出しを自由に「オン/オフ」することができます。

そしてノズルの先端部は、樹脂系材料を使って、一般の3Dプリンターで作れるので、摩耗してきたら交換できます。

直径12mmまでの粗骨材を使って造形できるノズル部

直径12mmまでの粗骨材を使って造形できるノズル部

ノズルの先端部は樹脂系材料を使って一般の3Dプリンターで作り、摩耗してきたら交換できる

ノズルの先端部は樹脂系材料を使って一般の3Dプリンターで作り、摩耗してきたら交換できる

このほか、材料を供給する小型のミキサーポンプも用意されています。

また、3Dプリンターを制御するソフトは、英国のEscher3d社が開発したオープンソースを利用して、ウェブシステムとして作られています。

小型ミキサーポンプ

小型ミキサーポンプ

3Dプリンター「BOD 2」を制御するウェブシステムの画面

3Dプリンター「BOD 2」を制御するウェブシステムの画面

そして、2019年3月14日付の「3D Printing Media Network」の記事によると、縦12m×横27m×高さ9mのものを造形できる

世界最大級

の3DプリンターとなるBOD2が、同年5月末にサウジアラビアの建設会社(Elite for Construction & Development Co.,)に納品されることになりました。

1階当たりの床面積が300m2で3階建てのビルを現場で丸ごと建設できるサイズです。

かなり大型の「BOD2プリンター」。サウジに納品されるものは、もっと大きくなりそうだ

かなり大型の「BOD2プリンター」。サウジに納品されるものは、もっと大きくなりそうだ

COBOD社のウェブサイトによると、3Dコンクリートプリンターには、ロボットアームを使ったタイプもありますが、門形クレーンタイプの「BOD2」はそれに比べるとローテクなので扱い方や造形用のデータ作成が簡単なうえ、広い範囲を造形できるなどのメリットを詳細に解説しています。

建設用の3Dプリンターの技術も、方式によるメリット/デメリットが比較される時代になりました。かなりこなれてきた感じですね。

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