管理人のイエイリです。
コンクリート系の材料を層状に積み重ねて実物の建物を造形する「3Dコンクリートプリンター」の技術は、ますます完成レベルに近づいているようです。
例えば、デンマークに本拠を置くCOBOD社は、2017年に同社の「BODプリンター」を使って、欧州で初めて3Dプリンターで実物のオフィスを建設しました。ここで「BOD」とは「ビルディング・オン・デマンド(Building on Demand)」の略です。
BODプリンターによる建物の建設工程
この経験を生かして、同社はその後、モジュラーを自由に組み立てて好きな大きさに作れる第2世代の3Dプリンター「BOD2」を開発しました。
普通なら制御システムや材料の配合などを「マル秘」扱いにするのではと思いきや、これらの多くは
ナ、ナ、ナ、ナント、
オープンソース化
されており、ノウハウや技術を共有できるようになっているのです。
そして、3Dプリンターを構成する部品や機器も、完成度の高さをうかがわせています。
例えば、造形材料にはモルタルだけでなく、直径12mmまでの粗骨材を含んだコンクリートを使えます。材料を吹き出すノズルの上には材料を一時的にためておく「ホッパー」が付いており、窓や壁の端部などで材料の吹き出しを自由に「オン/オフ」することができます。
そしてノズルの先端部は、樹脂系材料を使って、一般の3Dプリンターで作れるので、摩耗してきたら交換できます。
このほか、材料を供給する小型のミキサーポンプも用意されています。
また、3Dプリンターを制御するソフトは、英国のEscher3d社が開発したオープンソースを利用して、ウェブシステムとして作られています。
そして、2019年3月14日付の「3D Printing Media Network」の記事によると、縦12m×横27m×高さ9mのものを造形できる
世界最大級
の3DプリンターとなるBOD2が、同年5月末にサウジアラビアの建設会社(Elite for Construction & Development Co.,)に納品されることになりました。
1階当たりの床面積が300m2で3階建てのビルを現場で丸ごと建設できるサイズです。
COBOD社のウェブサイトによると、3Dコンクリートプリンターには、ロボットアームを使ったタイプもありますが、門形クレーンタイプの「BOD2」はそれに比べるとローテクなので扱い方や造形用のデータ作成が簡単なうえ、広い範囲を造形できるなどのメリットを詳細に解説しています。
建設用の3Dプリンターの技術も、方式によるメリット/デメリットが比較される時代になりました。かなりこなれてきた感じですね。