管理人のイエイリです。
新型コロナウイルスの感染防止策のため、世界をまたにかけて取材活動を行う国際派ジャーナリストは大きな制約を受けていおり、ジャレット・グロス(Jarett
Gross)氏もその一人です。
「3D Printed Construction Journal」というウェブサイトを主催するグロス氏は、世界各地の建設用3Dプリンターの活用現場を取材するための旅行計画を立てていましたが、新型コロナの影響で断念せざるを得なくなりました。
そこでグロス氏は、新型コロナに負けずと貴重な情報を2020年4月7日、動画投稿サイト「YouTube」に公開しました。
彼がこれまでたずねたり、調査したりしていた情報から
ナ、ナ、ナ、ナント、
3Dプリント建設会社30社
の特徴を11分弱でまとめた「The 30 Companies Pioneering 3D Printed Houses & Automated Construction」という動画なのです。
●動画に収録されている世界の3Dプリント建設会社 Apis Cor、Wasp 3D、Cobod、Constructions 3D、Icon Build、Contour Crafting、Mudbots、Rohaco、Vertico、Passivedom、CERAMBOT、Koala3D、Houseofdus、Sika、Branch Technology、Cybe、Hyperion、Twente Additive Manufacting、Sq3d、Winsun、Betabram、Dshape、Mx3d、Xtree、ESA/Foster&Partners、Total Kustom、BatiPrint、MOBBOT、Fastbrick Robotics、Atena (ソフト) |
その動画から、興味深い事例をいくつか紹介しましょう。
まずは、当ブログの記事でも取り上げたロシア発祥の企業「エーピス・コー(Apis Cor)」です。現在は米国に拠点を移しており、旋回クレーンタイプの運搬式3Dプリンターで、本格的な2階建ての建物を建設しました。
その現場の様子などが紹介されています。
パティ・プリント(BatiPrint)は、発泡スチロール状の材料を使って「打ち込み型枠」を作り、その内側にコンクリートを打設する方法で壁など作っています。造形が早いのが特徴ですね。
造形後、型枠はコンクリート壁の断熱材として使えるのかもしれません。
3Dプリンターによる建設で、ネックとなっていたのは建物の角にどうしてもアールがついてしまうことでした。ところがベットアブラム(BetAbram)は、ノズルを工夫することにより、壁の角を直角に造形できる技術を持っています。
空中に樹脂製の材料でトラス構造を造形するのは、ブランチ・テクノロジー(BranchTechnology)の3Dプリンターです。公園などに設置するオブジェなどを制作しています。
このほかESAとフォスター・パートナーズが開発した月面用3Dプリンター車や、廃プラスチックを使って家を造形するハウスオブダス(Houseofdus)、3Dプリンターでプレキャストマンホールを製作するメボット(MEBOT)もあります。
さらには6軸の3Dプリンターで斜面を造形するロハコ(Rohaco)、橋を造形するトゥエンテ・アディティブ・マニファクチュアリング(Twente Additive Manufacturing)、土や粘土で造形するイタリアのワスプ3D(Wasp 3D)など、珍しい3Dプリント建設技術が目白押しです。
そして、注目したいのは2台のロボットを使って
窓枠の周囲に壁を自動造形
するエクストリー(XtreeE)の技術です。
これまでの3Dプリンターの弱点は、窓やドアなどの開口部の造形でした。何もない開口部の上に材料を積んでいくため、自動造形を一時ストップして人間が木材などで開口部の上に「橋」を架けてから造形を再開するという方式が一般できだったのです。
この方式で、開口部の造形が自動化されたことは、3Dプリント建設界の“イノベーション”と言えそうです。
動画の解説は英語ですが、映像を見ているだけでも世界の3Dプリント建設技術の最新動向を知ることができます。
テレワークの合間などにぜひ、ご覧ください。