振動ローラーのデータを施工CIMモデルに!大林組がダム工事用に開発
2020年5月26日

管理人のイエイリです。

ロックフィルダムは、堤体断面の中央に水を通しにくい粘土層の「コア」を置き、その両側に砂利層や岩石層を配置した構造になっています。

施工ではそれぞれの材料を振動ローラーで転圧し、密度を高めて空隙(くうげき)を小さくし、頑丈なダムを構築していきます。

ロックフィルダムの標準断面図(以下の資料:特記以外は大林組)

ロックフィルダムの標準断面図(以下の資料:特記以外は大林組)

ローラーを振動させることで強力な転圧が行える振動ローラー

ローラーを振動させることで強力な転圧が行える振動ローラー

大林組では、締め固め度を判断するための地盤反力係数や密度を

ナ、ナ、ナ、ナント、

リアルタイムに計測

できるαシステムを開発し、品質管理に活用してきました。

αシステムの仕組み。振動ローラーに加速度センサーを取り付けて、転圧時の加速度応答で締め固め度をリアルタイムに計測できる

αシステムの仕組み。振動ローラーに加速度センサーを取り付けて、転圧時の加速度応答で締め固め度をリアルタイムに計測できる

その場で締め固め度が分かると、すぐに施工にフィードバックできるので、品質管理に有効ですね。

大林組は、この転圧管理システムを大阪府茨木市の安威川ダムの建設工事で使っていますが、さらに画期的な取り組みを開始しました。

大阪府茨木市で施工中の安威川ダムの完成イメージ(資料:大阪府安威川ダム建設事務所)

大阪府茨木市で施工中の安威川ダムの完成イメージ(資料:大阪府安威川ダム建設事務所)

αシステムで取得した転圧データに、GNSS(全地球測位システム)によって計測した振動ローラーの軌跡や転圧回数のデータを組み合わせ、転圧範囲の

CIMモデルを自動作成

できるようにしたのです。

振動ローラーの施工データと、GNSSによって計測した軌跡情報や転圧回数を組み合わせて施工CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)モデルを自動生成できるようにした

振動ローラーの施工データと、GNSSによって計測した軌跡情報や転圧回数を組み合わせて施工CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)モデルを自動生成できるようにした

つまり、GNSSの軌跡情報や転圧回数で施工中の堤体の3Dモデルを作り、その属性情報として地盤変形係数や密度などの品質管理データを埋め込む仕組みです。

振動ローラーが施工するだけで、CIMモデルが自動的に作られるので、手入力に付きもののヒューマンエラーがなくなるだけでなく、維持管理用のデータとしても大いに役立ちそうですね。

大林組では、ダムの情報化施工技術を「ODICT」というブランドに集約しており、生産性向上や品質管理の高度化を行っています。

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