管理人のイエイリです。
建設会社における構造分野でのBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)活用が進む中、BIMモデルに埋め込む「属性情報」の仕様がバラバラなため、会社間のBIMモデル交換に手間がかかるという問題が浮上してきました。
例えば、柱の幅を表すのに、A社では「幅」、B社では「B」という異なる名前のパラメーターを使っていたため、建設会社が作ったBIMモデルを鉄骨製作会社(鉄骨ファブ)に受け渡す際に、会社ごとのデータ変換が必要でした。
そこでオートデスクのBIMソフト「Revit」を活用する大林組、清水建設、大成建設を中心とした構造BIM担当者は、2017年から「BIM Summit 構造分科会」として活動し、柱や梁のRevit用BIMオブジェクト(ファミリ)の仕様を共通化。2018年12月に記者発表しました。(詳しくは、2018年12月5日付けの当ブログ記事を参照)
このグループはその後も活動を続け、2019年6月には鉄骨系のRevitファミリを追加でリリースしました。
そして昨日(2020年7月16日)、構造分科会は
ナ、ナ、ナ、ナント、
RC構造用の柱・梁ファミリ
も追加でリリースしたことを発表したのです。
上記の表を細かく見てみると、柱頭や柱脚、ふかし厚さなど、きめ細かく項目名やパラメーター名が定義されていることがわかりますね。
これだけ仕様がきっちりしていると、鉄筋の数量計算や自動加工などのソリューションも開発しやすくなりそうです。
これらのRevit用ファミリは、オートデスクのウェブサイトからダウンロードできます。
そして、昨日発表されたのはこれだけではありません。このグループに
鹿島建設も参加
したというのです。
スーパーゼネコン4社が、構造BIM分野で大同団結したとなると、相当、強力なデファクトスタンダードになりそうですね。
もともと、鉄骨ファブにおけるデータ交換の労力を軽減しようと始まった、元祖“思いやりのBIM”プロジェクトは、今後も柱や梁以外の標準化まで進んでいきそうです。