管理人のイエイリです。
街なかで既製コンクリート杭を打ち込むとき、まずはくい打ち機のドリル(オーガー)で穴を掘り、支持層とよばれる硬い地盤まで到達します。その後、杭を埋め込むようにして施工します。
この工事のポイントは、見えない地中で支持層までドリルが届いたかどうかを確認することです。
その方法は、地盤の硬さが増すことによってオーガーを回転させるモーターの電流値や掘削にかかる時間の変化を観測するだけでなく、くい打ち機が「ガガガガガ」と振動する状況も体感しながら、元請け会社の施工管理技術者が判定します。
こうした現場ならではの「ガガガガガ」といった要素があるので、支持層への到達は現場でなければ判断できない仕事ですよね。
ところが大林組は、この現場での「ガガガ感」を深さごとに、
ナ、ナ、ナ、ナント、
データとして見える化
する技術を開発したのです。
その名も「杭番人」というシステムで、掘削時の電流値などの様々な指標をデータ化し、リアルタイムに表示するものです。
これまで現場の技術者が体感で判断していたくい打ち機の「ガガガ」という振動も現場でデータ化し、周波数別に強さを色分け表示します。
支持層到達の判定根拠となるデータを記録として残しておけるので、施工管理のトレーサビリティーも向上しそうですね。
地盤の状況によっては、電流値の変化が不明確で支持地盤の判定が難しい場合もありますが、「杭番人」では電流値やくい打ち機の振動データに加えて、大林組独自の新しい指標も含めた13種類の指標データを使って判断できるようになっています。
このデータはもちろん、クラウド上でもリアルタイムに共有し、どこからでもパソコンやタブレットで見ることができます。そのため、元請けの技術者は離れたところからでも支持層到達の確認ができるため、作業時間を
最大で約50%低減
することができます。
これまで現場で技術者が体感し、経験と勘で判断してきたことも、データとして分析しデジタル化することで、クラウド共有できることが増えてきました。
そうなると、これまで現場にいないとできなかった施工管理業務も、「テレワーク化」が少しずつ、進行していきそうですね。