管理人のイエイリです。
建築現場でのコミュニケーションや情報伝達は、人と人との「フェース・トゥー・フェース」で行うのが基本でした。
例えば、朝礼やKY(危険予知)活動、工程・作業の打ち合わせから、顔色を見ての健康チェックまで、人同士が会うことが必要だったのです。
ところが、こうしたコミュニケーションスタイルが、現場の施工管理や生産性向上のネックになってきました。
そこでNTTドコモ(以下、ドコモ)と竹中工務店は、現場での「協働」と「個人」をIoT(モノのインターネット)やデジタル技術で支援することにより、
ナ、ナ、ナ、ナント、
建築現場のデジタル変革
を実現する取り組みをスタートさせたのです。(NTTドコモ、竹中工務店のプレスリリースはこちら)
「協働」の支援では、対面で行われてきたコミュニケーションをデジタル技術で支援することにより、生産性や安全性を高めます。
例えば朝礼は、1カ所に全員集合するスタイルから、分散した場所で行う「デジタル朝礼」を導入します。
スマホの画面に表示される注意事項を読んだことを確認する機能も付いているので、「よく聞こえなかった」などあいまいなまま作業に入ることも防げます。
一方的な情報伝達で形骸化しがちなKY活動も、過去の事故事例をスマホでビジュアルに見ながら話し合うスタイルを導入します。その結果、リアルで安全意識の高いKY活動に変わります。
また、工程の進ちょく状況はBIMモデルなどを使って集約し、現場内外の工事関係者間で共有することで、資機材や人、作業の事前段取りを行えるようにし、「手待ちのムダ」を防ぎます。
一方、「個人」の支援では、現場の情報をその人向けにカスタマイズして届けたり、個人の健康状態をきめ細かく管理したりといった取り組みを行います。
例えば、時々刻々と進行する施工状況や設計変更などの情報は、これまで職員、職長、職人の間で個別にケータイなどでやりとりしていたのを、クラウド上の「AIエージェント」に集約します。
いわば、現場の“無人案内係”のようなもので、他人の業務をじゃますることなく、情報の取得や配信がスムーズに行えるようになります。
例えば、工程管理では、職員や職長、職人の個人ごとの作業内容を
To-Doリスト化
して配信することにより、情報伝達の不徹底や作業のし忘れなどによる手戻りや作業遅れ防ぐことができます。
このほか、現場で働く人の健康状態や作業効率を「バイタルセンサー」で収集して個人にフィードバックすることにより、パフォーマンス向上に役立てるパーソナル管理の取り組みも行います。
上記の「協働」と「個人」に対するデジタル支援により、現場全体のプロセス管理と、一人一人の人間行動モデルのデータを統合することにより、生産プロセスの最適化を行います。
そして、P(計画)→D(実行)→C(評価)→A(改善)のサイクルをきめ細かく回します。
一人一人とコミュニケーションがとれるスマホやケータイがなければ、個人レベルまで落とし込んだ管理はできません。モバイル通信企業、ドコモだからこそできる建築現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)と言えそうですね。