コンクリ打ち継ぎ面をタブレットで自動評価! 鹿島が鉄道、ダム工事で導入
2020年9月9日

管理人のイエイリです。

大阪市内で行われている阪急電鉄京都線・千里線の連続立体交差化工事の現場では、タブレットパソコンをコンクリート面に向けて、現場関係者がなんやら画面をのぞいています。

大阪市東淀川区内の淡路駅周辺の工事現場で。2019年7月26日撮影(以下の写真、資料:鹿島)

実はこのタブレットPCの役目は、コンクリートの打ち継ぎ面を写真で撮影し、

ナ、ナ、ナ、ナント、

打ち継ぎ面の品質を評価

することなのです。(鹿島のプレスリリースはこちら

タブレットPCによるコンクリート打ち継ぎ面の評価。成瀬ダム堤体打設工事現場にて、2019年11月8日に撮影

コンクリート構造物を施工する時には、前に打設して硬化したコンクリートの後に、生コンクリートを打設する「打ち継ぎ」が欠かせません。

打ち継ぎ面には、セメントや骨材の微粒子からなる「レイタンス」と呼ばれるもろい層や、緩んだ砂利・砂などの骨材が表面に浮き上がっており、これらを高圧洗浄で除去したり、目あらししたりしておかないと、次のコンクリートとの一体性が損なわれてしまいます。

このように重要な打ち継ぎ面ですが、これまでは処理状態の善しあしを定量的に判定する基準がなかったので、目視で感覚的な判断が行われてきました。そのため、処理が過剰だったり、不十分だったりするケースもありました。

このシステムは、打ち継ぎ面処理の不十分な箇所を「その場で」「瞬時に」発見できるものです。

使い方は、コンクリートの表面をタブレット端末で写真撮影し、評価対象範囲を選択するだけです。すると5~10秒後にコンクリ面をメッシュに分けて「青」、「黄」、「赤」の3段階で評価結果を表示してくれます。

打ち継ぎ面評価の流れ

良しあしの判定は、打ち継ぎ面の輝度分布を分析することで行います。打ち継ぎ面の処理が不十分な場合は、コンクリ表面の凹凸が少ないために輝度分布が一点に集中します。一方、処理が良好な場合は幅広い輝度分布となります。

打ち継ぎ面の良しあしを判定する原理

タブレットPCで現場を撮影し、その写真上に自動判定された打ち継ぎ面の品質を表示するというのは、

AIやARっぽい

システムですね。

(注) AI:人工知能、AR:拡張現実

このシステムは、阪急電鉄の連続立体交差化工事現場のほか、秋田県内で施工中の成瀬ダム堤体工事(国土交通省東北地方整備局発注)の現場で実際に使われました。

今後は集積したデータをAIの機械学習を使って判定精度を向上させたり、ダム工事などの現場をドローンから広い範囲を撮影して判定したりといったブラッシュアップを行うほか、発注者の確認や検査を“遠隔臨場”で行うなど、活用範囲を拡大していく方針です。

鹿島ではコンクリート工事の全工程をデータで見える化するプラットフォーム「コンクリート・アイ」を構築しており、「コンクリートの全量チェック」に続き「打ち継ぎ面の処理」を実用化しました。

「コンクリート・アイ」のイメージ図

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