管理人のイエイリです。
これまで現場でよく使わせてきた枠組み足場は、階高が170cmのものが多く、一般的な成人男性(平均身長:172cm)はかがまないとすぐにヘルメットが当たってしまいます。
そこで大阪市北区の足場レンタル会社、タカミヤは腰を曲げずに作業できる階高190cmの「次世代足場 Iqシステム」を2013年に開発、レンタルを開始したところ売り上げは年々増え、2020年3月期の販売実績は前年比31.3%も増加したそうです。
同社はこの足場の設計にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を導入しており、数量計算などに使っています。
では、BIMソフトとして使っているのは「きっとRevitだろう」「いやARCHICADかも」「ひょっとしてGLOOBEかな」と思った方もいるでしょう。残念ながら全部、不正解です。
タカミヤがこれらの足場モデリングなどに使っているのは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
BricsCAD
なのです。(タカミヤのプレスリリースはこちら)
BricsCADと言えば、図研アルファテックが展開するDWG互換CADの有力ソフトとして名をはせてきました。そのため、2次元CADという認識でいる人も多いのではないでしょうか。
しかし、2014年には「BricsCAD V15」にBIM機能が搭載されたのを皮切りに、少しずつ進化し、2019年10月に発売された「BricsCAD V20」ではパラメトリック階段、日影シミュレーション、さらには点群データの読み書きなどの新機能が追加されたのです。
BricsCADのBIM機能紹介(動画:図研アルファテック)
タカミヤはこのように名実ともに“ジェネリックBIMソフト”として進化したBricsCADを活用し、足場の3Dモデルから範囲を選択するだけで数量計算が行える「Takamiyaコマンド」を開発。BIMソフトに不慣れな事務職員でも数量算出が行えるようにしました。
また3Dでの仮設計画によって道路規制が必要となる俯角(ふかく)75度の作業による影響範囲を事前に把握したり、隣接する躯体との離隔や足場のすき間を事前に確認したりと、安全の可視化にも役立てています。
同社は2019年秋からこのシステムを設計部門で導入しており、社内業務コストを10%削減したそうです。また、IqシステムとBIMを連携したサービスを2020年7月10日に開始しました。
このほかタカミヤのIqシステムについての取り組みとしては、
iPhoneとARで階高を体感
できるサービスも提供しています。(Web ARサービスの資料はこちら)
(注) AR:拡張現実
使用に当たってはアプリのインストールは必要なく、iPhoneやiPadのカメラ機能で上記のQRコードを読み込み、Web上のシステムが起動したらiPhoneなどを周囲の床や壁に向けて動かすだけです。
すると目の前に実物大のIqシステムの足場が表れます。
BricsCADをBIMソフトとして使い、足場のサイズをARで実感させるとは。さすがに次世代足場を展開するタカミヤさんですね。