管理人のイエイリです。
人手不足に悩む建築設計事務所や建設会社では、CAD業務を外注することがよくあります。しかし、意外に外注できていないのは、数時間で終わるような単純作業ではないでしょうか。
こうしたちょっとした作業は、作業自体の手間よりも、今日、時間が空いている人を探したり、契約したりする方が手間の方が大きくなってしまい、結局は自分でやってしまうこともしばしばです。
こんな設計者のお困りごとを解消しようと、フルー(本社:東京都練馬区)は、AutoCADやRevit、Jw-CAD、DRA-CADなどの業務を手軽に外注できるクラウドソーシングサービス「flew」を開設し、2021年1月16日に本格運用を始めました。
対象とする仕事は、原則として、
ナ、ナ、ナ、ナント、
1~8時間で完了
する作業に限っているのが特徴なのです。(フルーのプレスリリースはこちら)
つまり、仕事を頼む側としては「今日、たまたまヒマな設計者をクラウドで見つけて、ちょっとした仕事をすぐ頼める」というメリットがあり、空いた時間をクリエーティブで高度な仕事に集中することができます。残業も減らせるでしょう。
一方、仕事を受ける側としては「空き時間に手軽に副収入を得られる」というメリットがあり、子育て中の人も自宅にいながら空き時間を活用して収入の増加が見込めます。なにより“手離れのよさ”がいいですね。
具体的な仕事内容はクラウドを通じてCADオペレーターに公開され、希望者を募ります。
希望者が見つかればメッセージフォームや電話、ビデオ会議で打ち合わせを行います。発注側、CADオペ側の双方がOKすれば、発注側は料金をflewに仮払いして、作業がスタートします。
業務が完了するとCADオペはデータをクラウド経由で発注者に送信して「納品」し、発注者が「検収」ボタンを押せば作業料が支払われます。サイト利用の手数料は20%でCADオペ側が負担します。
最後に受発注者の双方が作業の完成度や作業指示の明快さなどを5段階評価します。
同社ではまず、全国で約9万カ所ある小規模な建築設計事務所を対象に、このサービスを活用した新しい働き方を提案していきます。
その後、CAD作業だけでなく建築の施工や土木、機械分野への水平展開や、大手の設計事務所や建設会社向けへのサービスの垂直展開を計画しています。
このサービスを開発したフルーの代表取締役、矢野貴大さんは北海道大学、同大学院で建築を学んだ後、
鹿島で構造設計
を十数年担当した経験を生かし、2020年にフルーを立ち上げました。
今回、「ちょっとしたCADの仕事」を対象にしたのは、自分自身の業務の中で小さな仕事を頼みにくいことを体験し、「日本中探せば、今、この瞬間に仕事をしたいけどヒマをもてあましているオペレーターや構造設計者もいるだろう」と妄想したことがきっかけだったそうです。
こうしたディープな経験に基づいたサービスは、きっとユーザーの心をつかむでしょう。テレワーク時代の設計業務の生産性を上げるクラウドシステムとしても期待したいですね。