管理人のイエイリです。
野原ホールディングスのVDC(Virtual Design & Construction)カンパニーは2021年3月、従来工法に比べて「工期、工費とも3割減」という大幅な生産性向上を目指す個室病院、「モジュラーホスピタルルーム」の設計プランを発売しました。
独立した個室のイメージを生かした外観や、梁や柱などの角がない曲面形状で体が包み込まれるような内観のスマートかつ柔らかなデザインが特徴です。
工期やコストを大幅に削減できる秘密は、これらの個室ユニットが
ナ、ナ、ナ、ナント、
タイの工場で生産
されるからなのです。(野原ホールディングスのプレスリリースはこちら)
個室ユニットの周囲は重量鉄骨フレームで囲まれており、設備や配管、内装もほとんどが工場で完成しています。生産はTaisei Enterprise(THAILAND)(タイセイ社)が担当します。
日本に運ばれた個室ユニットは、現場までトレーラーで輸送し、クレーンで積み上げて金具で固定するだけです。
ユニットの標準サイズは幅3.42m×奥行き6.5m×高さ3.3mで、価格はサイズや内装などの条件によって変わります。
強度は7~8階(約30m)まで積み上げられるほどで、ユニット同士の連結には強度計算で計画した専用ブラケットをボルトで固定します。
耐火性能や耐震性能は日本規格に準拠し、断熱性能も要求される性能に対応できます。
ユニットの設計は、岡部憲明アーキテクチャーネットワーク(東京都中央区)がBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフト「Revit」を使って行いました。
間接照明による照明制御を採用し、医療設備配管などはベッドの背面パネル内に集約しました。また空調ガラリは、間接照明奥の目立たない位置に配置しました。
テレビやモニター(オプション)は壁面内に設置し、風景映像を流す仮想窓や、医療診断などのオンラインコミュニケーションツールとしても利用できます。
このBIMモデルは、
BIMobjectサイトで公開
されているので、誰でも無料でダウンロードすることができます。(BIMobjectサイトのダウロード先はこちら)
私も早速、ダウンロードしてみました。Revitは持っていないので、オートデスクが提供する無料BIMモデルビューワー「Autodesk Viewer」で見ると、下記のようなBIMモデルや図面が入っていました。
コロナ禍で医療施設には個室化のニーズが高まっています。野原ホールディングスでは、このモジュラーホスピタルルームで、「医療施設建設のプロセスに変革を起こしたい」とし、2022年6月末までに100ユニットの採用を目指しています。
いよいよ日本でも本格的なモジュール建築の時代が始まりそうですね。